本日初日の「台風家族」、パンフレットがとてもいい

台風家族」(市井昌秀監督)を観てきた。四兄弟と長男の嫁と娘が、失踪して10年になる両親の家に集まり、葬儀を営むシーンが冒頭。土地を売って少しでも多く遺産を相続したいと画策する長男役を草彅剛が演じている。物語の推進力にユーチューブを利用しているのが、とても「いま」を感じさせる。緻密な脚本で面白いこと確実なのでぜひたくさんの人に観てほしい。で、観たついでにパンフレットも買ってほしい。
 いいパンフレットなのだ。公開が決まってから時間のない中で作ったというが、十分密度が濃い。とくにプロデューサーの寄せたプロダクションノートが素晴らしい。いろいろな裏話が書いてあるが、なかでも草彅剛起用の理由に目が引き寄せられた。ほぼ当て書きで脚本が書かれたという。その理由が「主演舞台を観劇に行った際にその思いは確信に変わった。」と書いてある。これは……あれではないか。1999年、2000年に演じた「蒲田行進曲」ではないか。「台風家族」もまた、「蒲田行進曲」が蒔いた種のひとつだと思うとなんだか幸せだ。

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