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先週のショートショート【09月19日~09月25日】

■2022年09月19日(月)
妻からのお題は「水たまり」。考え込むが、連想を飛ばしにくい。みずたまりさんが隣に引っ越してくる話にする。ウケるかどうかは別として、こういうありえない話は嫌いではない。タイトルは「みずたまり」とし、全体の刈り込みと、ラストの追加を行ってアップロードする。

■2022年09月20日(火)
妻からのお題は「爪」。ネイルかなあ。米粒に般若心経を書いたりする人がいるが、あんなふうに爪に細かい文字を書けないかと思い、検索する。そんなバカなことをしている人はいなかった。それはそれとして、指に文字を書くという話を書く。タイトルは「僅かな可能性」。僅かな可能性は、ほんとに言葉占いをしてきて出てきた言葉である。偶然性のショートショートであり、日記的でもある。

■2022年09月21日(水)
妻からのお題は「ラジカセ」。売ってるのかと思い調べるが、ぜんぜん現役で売っている。カセットテープのほうに焦点を当てることにした。いろいろ時代背景を調べる。時間がかかってしまい、ぎりぎりに書き上げた。タイトルは「テープを聴く」。妻は絶賛。しかし、1300文字あるので、noteではあまり読まれない予感がする(この予感は当たる)。

■2022年09月22日(木)
妻からのお題は「演説」。書けなくて、机に突っ伏す。いろいろな演説をネットで検索する。日本で名演説というと、三島由紀夫になるのか……肉声にこだわったのでほとんど聴衆には届かなかったらしいが。それにしても演説をネタになにを書けばいいのだ。なにも思い付かず、机に突っ伏した。20時前、気がついたら書けていた。演説をいじるのはむつかしいので、聞き手を書くことにしたのだった。妻の評判は良好。タイトルは「聞く力」にする。

■2022年09月23日(金)
妻からのお題は「バネ」。週間の課題でもある。むつかしいなあ。ウィキペディアがやたら充実していて読むのに時間がかかる上、半分以上理解できない。昔あったバネのおもちゃを調べると、スリンキーという名前だとわかった。誰も知らないだろうな。あれが富士山から落ちてきたら面白いかもしれないと、へんなことを考える。ほかにはなにも思い付かない……。書き出したら、早かった。妻からは「びよん」ではなく「びよよん」でしょと言われる。なるほどと思い、「反乱」というタイトルを「びよよん」に変更する。

■2022年09月24日(土)
お題は「団子」。江戸時代の茶屋を舞台に書きたいと思ったが、いまから江戸時代の風俗を調べるのはちょっと難しい。現代でお茶屋が流行る話を書いたら、妻から拒否される。「あなたの頭の中だけで茶屋ブームがあるみたいで、ぜんぜん伝わらない」と言われる。没を喰らったわけだが、そんなに悪い気がしない。滅多にないことだが、そのままアップロードする。

■2022年09月25日(日)
妻からのお題は「つまずき」。こんな日に限ってむつかしい。どう処理しようか。なににつまずくか、誰がつまずくか、なんのためにつまずくかなどと考え、ツマズキバッタが登場する。もう時間がない。あわてて書いた。妻からは「妻を出すな」と言われる。話は面白かったらしい。妻を息子に置き換えて、アップロードする。タイトルは「ゴミ認定」。

■まとめ
もうダメだ出がらしだと思っているわけだが、一週間が終わるとそれなりに書けている。どういうメカニズムになっているのだか。ショートショートを毎日書く作業は、創作というより修練のような気がする。決まった時間になると機械的にタイピングして、機械的ではない文字の羅列が生まれる。そんなものではないか。話は違うが、お題をもらう効用は確実にあって、自分ひとりで考えていたらツマズキバッタなどというものは絶対に出てこない。

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