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はじめて入ったファンクラブ。

 私がはじめて入ったファンクラブは筒井康隆ファンクラブである。高校2年か3年の時である。当時、作家の個人的なファンクラブはまだ少なかった。
 筒井康隆ファンクラブは会長の岡本吉民さんが朝日新聞の読者欄にファンクラブの設立を呼びかけたことで誕生した。そんな場所しか、広く呼びかける場所がなかったのである。
 毎月一度、神戸三宮の駅前にあった「エリーゼ」という喫茶店に集まるのがなにより楽しかった。月刊の連絡誌を岡本さんが編集し、年に一度は「ホンキイ・トンク」という同人誌も出していた。
 ときおり、筒井康隆さんにお会いするチャンスがあるのも凄かった。サイン会で筒井さんの横に座り、本を開いておくお手伝いをしたこともある。垂水のご自宅に伺ったこともあった。年末には忘年会もあったように記憶している。昔は作家とファンの距離が近かったのかもしれない。
 しかし、なんといっても、毎月筒井ファンと語り合うことができるのがありがたかった。学校ではとても筒井作品について話し合うような雰囲気はなかったのである。

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