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毎シーズン目が離せない「孤独のグルメ」

 シーズン8もぶじ始まった連続ドラマ「孤独のグルメ」。
 原作はマンガだ。雑貨商の井之頭五郎を松重豊が演じる。毎回、仕事の打ち合わせがチラリとあり、しかし、メインの部分は食事だ。店を探し、ただひたすらに食べる。
 シーズン8の第1回、横浜中華街編には驚いた。腸詰め干し肉貝柱釜飯を中心に置いて、「もうあとはなにを頼んでも自由だ」と思って、さらに「香港海老雲呑麺」「アヒルのパリパリ揚げ」「丸鶏の塩蒸し焼き」を注文するのだ。釜飯だけで十分一食分なのに、なんてハードボイルドな。
 松重豊は撮影の前日には絶食してくるそうだ。56歳という年齢を考えれば当然だろう。
 他人が飯を喰っているだけのこの番組がなぜこんなにも面白いのか、理由がわからない。久住昌之による厳選された五郎のつぶやきの数々が視聴者の胃袋に直接刺さっているのか。たとえば、ワサビ飯の回では「俺は、最終的にはこういうシンプル極まりないご飯が一番好きな気がする」と内心で呟く。こうしたリアリティが「孤独のグルメ」の人気を支えているのかも。

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