主人公好きか、脇役好きか、それ以外か by春野

我々は全ての人を平等に愛すことはできない。それは周知の事実である。
実際、知らない人より身近な友達の方が親愛の気持ちが湧く。そもそも愛するということを定義するということは愛せるものと愛せないものを比べているのに違いなく、その時点で我々は全てを平等に愛することができていない証拠なのではないかと私は思う。

堅苦しく書いたが、つまり我々は愛情になんらかの順位づけをしている。優先順位をつけていると言い換えてもいい。同じくらい好きだったとしてもその日の気分や最近の関わり合いなどによって優先される方が必ず出てくる。友達に遊ぼうと誘われた時に同じくらい君と仲がいいからと言って他の子を誘おうとはしない。もちろん、よほど仲が良かったり、同じ学校であったり、いつも一緒に遊んでいるメンバーだったりしたなら誘うこともあるだろうが絶対に同じだけ仲がいい子を連れて来なければならないと考えて意識的に行動している人は少ないだろう。
そうやって私たちは無意識に全てを順位づけしている。

さて、ここまで話したのはあくまで現実世界の全てに関してである。
ならば、もしこの順位づけする範囲が狭くなった時愛情はどうなるだろうか。
例えば世界の全てを知り得る状態で一人一人の考え方や行動を認識できた時、つまり、物語を読んでいる時、我々の順位づけの範囲は大きく狭まるが、与えられる情報は格段に膨大になっていく。この時私たちの順位づけはどうなるのか。

まず、好き嫌いがはっきりするだろう。何せ神の視点で見ている我々に与えられている情報は一方的な情報に過ぎない。例えば悪役が少女の飛ばした風船を取ってあげるというエピソードがあったとしても、物語を作る際にページ数や文字数の関係で消されて仕舞えば我々はそのことを知る由がない。もしかしたら作者が描こうとした人間らしさすらも我々は認識できずに終わってしまう。
そうなれば悪役は最初からそういうやつだったとしか認識されない。
もちろん二次創作や雑誌などでのインタビューなどで新しい認識が生まれるかもしれないがあくまでそれはそれである。

そして、同じくらい好きな存在が生まれるだろう。あくまで我々は作者でない限り読むことしかできない。故に優先する必要が限りなく低くなる。もちろんグッズを買う時なんかは優先順位が必要になるが、現実とは違って関わり合いによって気持ちが左右されることがない。結果、同じくらい好き、いわゆる箱推しなどに繋がっていく。愛情が限られた一部の中で平等になり得るのだ。

しかしここで思い出してもらいたい。この順位づけはあくまで作者の判断によって大きく左右されるのである。

さて、ここでやっと本題に入ろう。そう、ここまでは序章、いわゆる準備段階だ。

私はよく創作をするが作者の持つ影響力は大きいと常に思う。その中でも「作者が主人公が好きか、脇役が好きか、それ以外か」ということはとても重要な影響を持つのではないかと私は考えている。

何が言いたいのかというと、作者が主人公が好きか、脇役が好きか、それ以外が好きかということによってキャラクターや物語の作られる順番が変わるのだ。冒険ものの物語を作る時の作者の好みと主人公に注目して考えてみよう。

例えば作者が主人公を好きなら、主人公が活躍するシーンが見たいだとか、かわいそうな主人公が見たいだとか作者の願望により主人公の活躍が中心になりやすい。

脇役が好きなら、この脇役は救われてほしいとか、主人公を救うとかカッコよく活躍してほしいという作者の願望により、主人公は脇役のために底なしに明るかったり、窮地に陥って絶望したりする話が多く出てきやすい。

その他、例えばメッセージ性がある物語が好きなら、メッセージが中心となるように主人公が搾取される側、いわゆる弱者側になりやすい。

このように作者の優先順位が物語に変化を与えやすい。

もちろん、好みだけで物語ができているわけではないが、好みや書きたいものがあって物語は生まれると私は思っているし、それが多いのも事実である。

結局我々は作者による一方的な情報によってしか判断できず、案外作者の好みに引っ張られているのである。

案外現実でも誰かの好みに引っ張られながら生きているのかもしれない。

あとがき

内容薄いし、まとめが雑だって?実はもっと長いんですけど、流石に長すぎるということで消しました。これが本文の中で言った一方的な情報と大人の都合ってやつです。私はこんなことを一人で考えているタイプなのでこういう何言ってんだこいつみたいな話ならたくさんあるんですよ。まあ、これを書きはじめたのは、私は主人公という存在が好きだけど主人公になりたいかと言われると絶対ごめんだねっていうキャラクターを作ったからなんですよ。その時にこの子はどういう主人公を指してるんだろうと思ってうだうだぐだぐだ考えていたらこうなりました。後悔はしていませんが、なぜこれを文にしようと思ったのか…。ちなみにさっき言った主人公大好き脇役ちゃんが好きな主人公のタイプは全てです。主人公になってしまったという事実がかわいそうで、主人公であるだけで無条件に愛情あわれみを与えてしまう子なのです。…私の趣味がnoteの回数を重ねるごとにバレていってる気がします。
まあ、そんなこんなでここまでお付き合いありがとうございました!では、また!

おまけ 主人公大好き脇役ちゃんのセリフ

キャラメイキングができるタイプの主人公がめっちゃ好きなんだ。だって、プレイヤーなんて無限にいるでしょ?だからたくさんの子が同じ人生を過ごすんだよ。その選択肢が、個性が誰かを傷つけるかもしれない、誰かを救うかもしない。まさに可能性は無限大だよね。だから好きだよ、君のことも。あ、でも僕は主人公にはなりたくないね。そんなに愛されたら、どうなるかなんて、分かりきってるでしょ?
(補足!主人公は愛されるが故にすぐ何かに巻き込まれるから嫌だし、愛されるが故に長生きするのも、主人公だからすぐ死ぬのも嫌だし、決められた愛なんてつまんないよね。って思っている…)

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