入社式当日に、トラックに轢かれて死ぬ男の話
2015年9月20日の文学フリマにて無料配布した中編小説です。
「世にも奇妙な物語」みたいな話を目指して書きました。
今俺は手術室の扉の前にいる。誰かの手術が終わるのを待っているのではない。自分の手術が終わるのを待っているのだ。
目が覚めた時、数人の医者と医療器具が、俺の体を取り囲んでいるのが見えた。俺の腹は開かれ、医者達が血で汚れた手を忙しなく動かしている。
何に使うかよくわからない器具の名前を呼ぶ医者の声と、ピッピッピ…という機械音が室内にやけに大きく響いていた。