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日本BLと海外BLのちがい~映像編~

昨今、日本アニメ映画が海外で好調であることから、これらのコンテンツを積極的に海外に広げようという動きがあります。
しかし、「海外」と一口に言っても地域や文化は様々。一体、195カ国のどの地域、どの国をイメージしているのでしょうか?
多くの方は北米やフランスを思い浮かべるかもしれません。
しかし実際は、アジア諸国、特に中国での売上がダントツとなっています。そこに韓国が続き、アメリカが台湾を若干上回るという状況です。

今回の記事では海外というあいまいな言葉の位置づけを明確にして、BLコンテンツの「アジア」「欧米」市場の開拓についてお話していこうと思います。

日本アニメ映画の世界での状況

日本コンテンツの花形となったアニメ映画。
「世界で人気」と枕詞がつくことも多くなっていますが、具体的にどこの国で人気を博しているのでしょうか?

上のグラフは世界での興行収入が多い日本のアニメ映画における国別の内訳です。

驚くことに、『すずめの戸締まり』は中国の興行収入が日本を上回っているんですね。
また、『THE FIRST SLAM DUNK』も日本とほぼ変わらない人気振りです。
中国で上映された日本産映画はこれまで『君の名は。』の興行収入トップ(約112億円)でしたが、上記2作品が立て続けに大きく上回る結果となりました。

ゼロコロナ政策を事実上の撤廃となった影響も大いにあるかとは思いますが、舞台挨拶や先行上映といったイベントを行い、新海誠作品や『SLAM DUNK』の固定ファンを巻き込んだプロモーションが大きな反響を呼びました。

一方、『鬼滅の刃』『呪術廻戦』は中国で上映しておらず、興行収入のほとんどを日本国内で占めています。
そして、日本に次いで『鬼滅の刃』『呪術廻戦』の興行収入が多かったのがアメリカでした。
上記2作品はバトル要素もあり、アクション映画を好む国民性からも予想がつきそうですが、『ONE PIECE FILM RED』も加えたジャンプ3作品の人気がとにかく凄まじいです。

しかし、日本アニメを世界で公開する際にアメリカでのヒットは話題にはなりやすいですが、実利的にはアジア圏と比較して大きな数字ではありません。
数字的インパクトが強いのはやはり中国となっており、興行収入にブーストがかかるか否かは中国で上映できるかどうかにかかっていると言えるでしょう。

続いて、2022年の国別映画興行収入を見ると北米が1位となっており、次いで中国、日本は第3位となっています。
2021年は中国が第1位であったものの、2022年は厳格なコロナ規制があった影響で数字を落としているようです。
それでも日本の3倍近くの規模を誇っており、アメリカと中国は揺るぎない映画大国と言えます。
こうして見てみると、中国の興行収入における日本映画の割合はかなり高そうです。

日本・世界のBL映画・BLドラマの状況

一般的にBLを映画化する際、アニメ映画は比較的受け入れてもらいやすいですが、実写映画は否定的な声が挙がることが多くなっています。
実際、実写映画に比べてアニメ映画の興行収入は潤っているのでしょうか?

日本で上映されたBLジャンル映画の興行収入を見てみると、原作ファンの声とは裏腹に実写映画が一定の売り上げを誇っています。
特に、ドラマ人気を経てから映画化された作品はいずれも5億円以上の興行収入を上げており、今後もこの流れが続くと予想されます。
(BLドラマの勢いは凄まじく、『おっさんずラブ』が大ヒットした2018年以降制作数がうなぎのぼりとなっています)
ちなみに、BLではなくクィア映画という立ち位置ではありますが男性同士の恋愛模様を描いた『エゴイスト』の興行収入は約3億円でした。

対して、あのフジテレビがBLのアニメレーベルを立ち上げたことで大きな話題となった『ギヴン』や、上映当時(もう7年前…!)では記録的となった動員数10万人を突破&全国映画動員ランキングトップ10にランクインを果たした『同級生』でも最終的な興行収入は2億円強でした。

興行収入だけで見ると、アニメより実写に軍配が上がる結果となりました。

少しジャンルは変わってしまいますが、日本でも話題になった中華ドラマ『陳情令』の関連収益はおよそ160億円だとか。
中国のドラマ制作費は1話あたり8000万円(日本円)とも言われ、『陳情令』は若手の俳優を起用したことで衣装や小道具に予算を使い豪華な仕上がりとなっています。

まとめ

アジアでは日本と同じようなオタクコンテンツが人気となっており、特に中国での上映が興行収入の鍵となっています。
一方、アメリカではジャンプ系バトルヒーロー作品以外の普及が課題となっているようです。
国によって人気コンテンツの濃淡があるので、そのあたりを考慮して海外展開を行っていくべきだと考えます。

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