青春がまだ青かった頃。
『青春ってのは、たった一瞬、たった一言で色を変えてしまうんだ。』
よくいく喫茶店のマスターがそうつぶやいた。
『色なんかなくったって青春は青春だ。』
『あーでもない。こーでもない。ってのが青春なんじゃない?』
それからしてしばらく寝付けない日が続いて、眠っては昔の夢ばかり見た。
君に好きと言っていっしょに暮らし始めて
もう季節がだいぶ過ぎた。
いっしょに暮らしはじめたのは
ちょうど山が真っ赤に染まる頃だった。
出会ったのも紅葉で有名な山間の小さな温泉地。
母を亡くした彼女と
友人を亡くした僕との普通のくらし。
ぽっかり空いた穴を埋め合うには
ちょうどよい部屋と街だった。
小さな窓からは街と星とが見えた。
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