超AI時代の「頭の強さ」 - 齋藤孝著 - ブックレビュー

大変失礼であるとは思うが、齋藤氏は"IT系はそこまで詳しくない"という勝手な思い込みがあったが、逆に齋藤氏がAIを論じているなら、読まねばと直感的に思い、書店で突発的に購入。
結果、私自身が、今後、AIとどのように付き合っていくのがいいのか、といった心構えを決めることができたので、買ったのは正解だったと思います。

本書のタイトルに関して

まず「超AI時代」と「超」が頭につくのは、「今ここにあるAIだけではなく、まったく未知のAIと遭遇するであろう時代」という意味が込められている。つまり、本書は、将来に渡っても使えることを目指している、ともいえる。

「頭の強さ」とは

AI以前は「頭の良さ」といったものが重宝されていた。
しかし、AIは「頭の良さ」といった点では、人間を遥かに凌駕している。
では、この時代、もとめられるものはなんなのか?
それを、齋藤氏は、「頭の強さ」と表現している。
では、「頭の強さ」とは、なんであろうか?
それは「知情意」あるいは「智仁勇」という「三つをバランス良く備え、しかもスピードをもって、変化する状況に適切に対応できる」ことをいう、とのことである。
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「智仁勇」は、「西郷隆盛も大事にした」言葉であり、「智仁勇」に関して、以下のことを「実際に行わなくてはならない」と述べている。
悪事を明らかにし(智)、孤児ややもめを憐み(仁)、強暴なものをこらしめる(勇)。
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ちょっと、これだとあまりピンとこないので、元になった孔子の言葉をみてみよう。

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知者は惑わず、仁者は憂えず、勇者は懼れず

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つまり、判断力、やさしさ、行動力をバランス良く持つ、ということである。
これにスピードを加わったのが「頭の強い」ということなのである。

そして、その具体的な人物像は、有吉弘行やマツコ・デラックスのようなお笑い芸人を例に出して、以下のような人である、という。

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ものごとの本質を素早くつかむ力をもち、「智仁勇」をあわせもつトータルな人間性をもっている。そして、言葉やヴィジュアルを使ったアウトプットによって人を楽しませることができる人…。
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「頭の強さ」高めるためには

では、その「頭の強さ」を高めるために、どんなことをすればいいのだろうか?
そのひとつとして、「本質をつかむ力」を以下のような方法であげることである。
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今、求められていることは何なのか。それを優先順位の高いものから箇条書きにしてみる。これをどんな場面でもやることを、習慣にする。
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また、次のような方法もある。
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何か本を一冊、今から10分間で読んでみる。どの章が一番重要か?そのなかでも大切な見開き三ヶ所に付箋を貼ってみる、というような課題に挑戦する。
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そして、この「頭の強さ」を高めることにおいては、生成AIを積極的に利用してもいいのではないだろうか?という。
例えば、壁打ちをする。
これは、思考のトレーニングになる。
私も、ChatGPTのスマホアプリと、英会話をやったことがある。
これは、疲れる、疲れる。
相当の負荷がかかるのである。
ある意味、マシンを使って筋トレをしているような感覚だ。

その他、面白かったこと

アクティブラーニングに関しての言及が面白かった。
アクティブラーニングを、本当に成立させるのは非常に難しい。ただのおしゃべりで終わってしまう、ということが往々にしてある、とのことだ。

今後、どのように生かすのか

まず、これからの時代、自分自身がどうなりたいか?あるいは、人を教育する立場になったときに、どういった人物像を理想とするか?
その基準のひとつとして、「頭の強さ」というのを考慮したい。
私も、ブログ等を書く時でも、生成AIと差別化するためにも、個人的な感想、個人的な思い出、といったものをいれていくようにする。
そして、AIを敵とするのではなく、「頭の強さ」を鍛えるためのツールとして、利用していきたい。

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