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なぜ仕事しながら不妊治療を続けるのは難しいのか ─急に仕事を休むことになる─

皆さんの周りに不妊治療を受けられている方、いますか。
私の職場では、私以外にはいない気がします。
厚労省の資料(不妊治療を受けながら 働き続けられる 職場づくりのためのマニュアル)によると、夫婦5.5組に1組が不妊治療を受けています。
仕事との両立ができな かった(または両立できない)とした人の割合は 35%だそうです。
なぜ、仕事をしながら不妊治療を続けるのは難しいのでしょうか。

通院スケジュール

ケガや病気などで通院する場合、他の都合と時間調整します。

不妊治療でも、時間調整しながら通院する日時を決める場合もあります。

でも、不妊治療では、急に仕事を休まないといけないことがほとんどです。

なぜ、急に仕事を休まないといけないのか。

それは、月経周期や排卵の状況に応じた通院が必要になるからです。

私たちのクリニックの通院スケジュールは、月経2~3日目、月経10~11日目、月経13~14日目、採卵日です。

月経2~3日目には、卵胞の様子を診ていただきます。

月経10~11日目に、卵胞の発育を確認し、早ければ採卵日が決まります。

ほとんどの場合、10~11日目の受診では排卵日は決まりません。

月経13~14日目の受診で、女性ホルモン値と主席卵胞の大きさから排卵日を決定します。

そして、排卵日に採卵し体外受精を行います。

黄体化ホルモンが(LH)が上昇していない場合、点鼻薬で人工的に上昇させます。

すると、点鼻2日後の午前中に採卵することになります。

ところが、LHが予想より早く上昇すると、点鼻した当日または翌日に緊急で採卵することになります。

女性だけでなく、男性もパートナーの周期に合わせて通院します。

排卵日に体外受精が行われます。

男性は排卵日に採精を行います。

排卵日の朝、自宅で採精した容器を、女性が持ち込むことも可能です。

でも、精子はかなりダメージを受けます。

通院して採精した方が、精子へのダメージを減らすことができます。

不妊治療のために退職せざるを得ない

通院が月経2~3日目や10~11日目の場合、生理がきたら通院の予約を取り、職場に休暇届を出すことになります。

月経周期が安定していれば、通院するであろう日を予想し、ある程度仕事量を調整しておくこともできます。

でも、仕事を休む当日にしかできない業務は、誰かに代行していただくしかありません。

月経13~14日目や排卵日は、クリニックの先生の専門的な判断により通院が決まります。

そうなると、当日の朝に休暇を申し出たり、勤務時間中に早退したりすることになります。

採卵を成功するため、その月経周期ごとに、このような勤務になってしまうのです。

自分たちが経験しなければ、知ることのなく、想像もしづらい不妊治療の実際。

職場の方々に理解してもらうことは、かなり難しいことです。

頻繁に自分の業務を誰かに代わっていただくことになる。

そのために、不妊治療がはばかれる。

はばかれるとの思いが強くなると、不妊退職がちらつくように。

ちらつきながらも続ける不妊治療がなかなかうまくいかないと、退職せざるを得ないと思う人も出てきてしまいます。

妻や私の職場

妻や私の職場はかなり恵まれていました。

特に長男を妊娠できた時の妻の職場の様子は、とても温かな雰囲気がありました。

入籍後、妻は私の自宅近くの職場への転勤希望を出しませんでした。

職場環境の変化がストレスになり、不妊治療がうまく進まなくなることを懸念したからです。

妻は不妊治療を受けていることを、上司や数名の同僚たちに伝えていました。

伝えてあった方々からの配慮もあり、温かな雰囲気の中で不妊治療を優先しながら、仕事も滞りなく進めることができました。

妻の採卵の日、私は自宅で採精していました。

ところが、自宅での採精した精子たちは、移動時間中に大きなダメージを受けることが分かりました。

クリニックに到着時点で、男性不妊を判断するWHO基準をかなり下回っていたのです。

そこで、採卵する日に、私も通院して採精するようにしました。

通院して採精するとなると、妻の採卵に合わせて仕事を休むことになります。

予め、採卵が行われるであろう日の業務を前日までにこなしておきました。

上司や同僚に、不妊治療を進めていること、午前半休を取るかもしれないことを伝えてもおきました。

私の職場も理解者が多く、急な休みでもカバーしていただきました。

休みを取ることで、私自身が嫌な思いをしたことはありませんでした。

休みをお互いさまと思い合える職場でなければ、続けることは難しい

私の職場にはありませんが、不妊治療のための特別休暇を制度化する企業も徐々に増えてきているようです。

特別休暇制度が整備されることで、不妊治療のために休みやすくなることもあるでしょう。

でも、整備されているかいないかが、仕事を休む上で重要なことではありません。

仕事を休んだ時に、お互いさまと思える環境が重要なのです。

不妊治療だから特別に休むことが許されるというわけではなく、仕事を休むということは何らかの事情があるんだろうと思い合える環境です。

仕事を休むことに対してお互いさまと思い合える理解ある職場でなければ、不妊治療を続けられないと思うのです。

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