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『山口仲美著作集』 全8巻

日本語史、古典の文体、オノマトペの歴史研究などで知られる山口仲美先生がこれまでの研究やエッセイをまとめた『山口仲美著作集・全8巻』(風間書房)。ついに2020年9月、完結となる8巻が発売されました!

弊社では、1~8巻すべての本文組版を担当させて頂きました。

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日本文学や古典などと聞くと“難しそう”というイメージを持つ方もいるのではないでしょうか。山口先生はそんなイメージを払拭するため、著書の中では一般の方にも分かりやすい言葉選びや、人気アニメを例に挙げて説明をするなど、スッと日常に馴染むような親しみやすさにこだわりをお持ちでいらっしゃいます。

そのため全8巻を通して、ルビの振り方はもちろん、説明として重要な先生の直筆画や引用画像は何度も校正を重ねながら慎重に補正をおこないました。とくに直筆画はえんぴつ描きなので、そのまま印刷するとすこし薄くなってしまいます。かといってインキを盛りすぎてしまうと線の繊細さが薄れてしまいます。あくまで自然に、繊細ながらも力強く表現できるように画像補正をしました。

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また、シリーズとはいえ巻によってデザインが変わっていくのも面白いところ。章単位でも、枠組デザインが変わったり、吹き出しがあったり。

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通常は1段組みの文章も、言葉の説明を入れるときには2段組みにし、さらに上段と下段で文字の大きさを変えるなどの工夫をしていたり。

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読み手がいかに楽しく、リズミカルに読み進められるかという先生の細やかな気遣いも感じられる作品となっています。

実際に携わったスタッフからはもれなく、「作業をしながら入ってくる内容が面白くて日本文学のイメージが変わった!」という声があがっています。どの巻、どの章から入っても楽しめる内容になっていますので、ぜひお気軽に手に取ってみてくださいね。

第1巻の制作がはじまった2017年から2020年9月完結まで約3年が経過しました。すべての巻がほぼ予定通りのスケジュールで発売へとたどり着けたことに、スタッフたちも喜びを噛みしめております。

山口先生の集大成ということもあり営業も現場も「なんとか思いに応えたい!」という一心でしたが、先生もその仕上がりにご満足いただけたようで、弊社長の名を記憶に刻んでくださったとのことでした。ありがたき幸せ・・・!

『山口仲美著作集 全8巻』詳細

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サイズ:A5判(天地210×左右148mm)
上製カバー装 各巻平均 665頁 総頁 5316頁
本文:クリームキンマリ A判/T目<46.5kg>
(刷色:スミ、M+スミ )
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著者:山口仲美
発行所:風間書房
装丁:鈴木弘
本文印刷:藤原印刷
製本:井上製本所
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各巻 本体5,800円+税
揃価 本体46,400円+税(分売可)
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最後に、「好書好日」さんで公開されている山口仲美先生のインタビュー記事。研究に取り組むきっかけや言葉のユニークさなどについて語られていますので、こちらもぜひあわせてチェックしてみてくださいね。

(竹村奈々)



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