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新たな扉が開かれるとき/上杉瑠香チーフマネージャー①

小学3年生から始めたバスケットボール。
途中、半月板を損傷したり、椎間板ヘルニアを患ったり、
そのせいもあって「理学療法士」になろうと思ったこともあります。
プレーヤーとして進んだ大学の同期は
全国に名を馳せるような強豪校の出身者ばかり。
高校ではエースだったけれども、
無名校のそれだとプレータイムはなかなかもらえない。
それでも上杉瑠香マネージャーは
バスケットが楽しくて、大好きで、プレーし続けたいと思っていました。
「私の“右腕”として動いてほしい」
そう言われるまでは――

プレーヤーからマネージャーへの転身

転機は大学2年生のリーグ戦が終わった頃。
上杉マネージャーが今も恩師と慕うコーチから
「イク(当時の上杉マネージャーのコートネーム)、マネージャー、やらない?」
と持ち掛けられました。
チームが関東大学女子バスケットボール連盟の3部から2部への昇格が決まったときです。
上杉マネージャーが通っていたのは青山学院大学。
男子はインカレで優勝をするなど、大学バスケット界でもトップレベルですが、
女子はまだまだそのレベルではありません。
それでも上杉マネージャーが入学する前後から、
女子バスケ部も強化していこうという機運が高まり、
その成果も少しずつ表れてきていた時期でした。


一方で、当時の女子バスケット部には常駐の専任スタッフが少なく
上杉マネージャーは選手をしながら、主務(チーフマネージャー)や
トレーナーが来られない日はトレーナーとしても動いていました。
ちょうどB.LEAGUEが開幕しようとする時期で、
大学の体育館がサンロッカーズ渋谷のホームアリーナになり、
女子部は系列の中等部や高等部の体育館を借りて練習をすることもありました。
そこは上杉マネージャーの母校でもあったため、勝手を知っている彼女に白羽の矢が立てられたのです。

当初はコーチからの打診を固辞していた上杉マネージャーですが、冒頭の言葉で翻意します。
「選手としてはあまりにも力不足だった私が、チームのためになれて、そこまで信頼してもらっているのであれば『やります』と。それが私のマネージャー人生の始まりです」
信頼とは一朝一夕になるものではありません。
プレーヤーとして、キャリアや能力の差を感じながらも必死に食らいつき、
一方で兼務していた主務やトレーナーのサポートでもチームのために懸命に働く。
そうした姿勢を、自分自身は思っていなくても、周囲に見せていた上杉マネージャーだったからこそ、コーチは彼女を自分の“右腕”にしたかったのでしょう。
信頼するイクなら大丈夫。
いや、イクだから信頼できる、と。

2人の後押しで富士通レッドウェーブへ

そうして大学生活の後半をマネージャーとして過ごした上杉マネージャー。
卒業後の進路は、女子関東実業団リーグ(現・女子東日本地域リーグ)の会社に決まりかけていました。
そんなときレッドウェーブの関係者から大学のコーチに、
「マネージャーを探しているんだけど、誰かいない?」
と声がかかったそうです。
コーチは「イクなら自信をもって推薦できる」と思いましたが、
上記の会社とも話が進んでいます。
どうするか委ねられた上杉マネージャーは悩みに悩みました。
先に声をかけてくださっている会社にも申し訳ないし、
一方で、Wリーグで戦うチームがどんな人たちの集まりであるかも、なんとなくではあるけれども、わかっています。
高校も大学もけっして強豪校ではなく、
高いレベルの戦いがどういうものかも知りません。
そんな私がWリーグのマネージャーになるなんて、まったくのお門違い。
そんなふうにも思っていました。
ただ憧れだけは――幼い女の子がWリーグを夢見るような憧れだけは、どこかに抱いていました。
そして2人の声が上杉マネージャーをこの世界に導いたのです。


一人は大学の先輩で、2022-23シーズンまでB2の越谷アルファーズでプレーしていた畠山俊樹選手です。
上杉マネージャーから相談を受けた彼はこう言いました。
「まだ何もしてないのに逃げちゃ駄目だよ。ルカはまだ若いんだし、本当に無理ならやめればいい。ただ、何もしていないうちから逃げるなよ」
言われたときは内心「難しいことを言うなぁ」と思ったそうです。
「(全国大会で優勝した経験を持つ)俊樹さんのレベルだったらチャレンジしようという意味もわかるけど、まったく無名の私が……」
そう思いつつ、どこか背中を押されていたと言います。

もう一人は、1つ年上のお姉さん。
三姉妹の末っ子として生まれた上杉マネージャーは、1つ年上のお姉さんとずっと一緒にバスケットをしてきました。
自分のことを誰よりも理解してくれているお姉さん。
そのお姉さんに言われます。
「憧れているんだったら、行くべきだよ」
2人のお姉さんは自らの意志で自分の道を切り拓いていました。
そんなお姉さんだからこそわかる、自らの道を自ら選ぶことの大切さ。

2人の言葉を受けて、2017-18シーズン、上杉マネージャーは、
富士通レッドウェーブのマネージャーになります。

ダイレクトメッセージでよく
「Wリーグのマネージャーになるにはどうしたらいいですか?」
と聞かれるそうです。
それに対して上杉マネージャーは、これと言った方法はあまりない、と言います。
ストレートに言ってしまえば、運とタイミングと縁、だと。
ただ、それらがうまく合致したときに、私なんて、と逃げ腰になるのはよくないと言います。

「私は飛び込んでよかったと思っています。Wリーグに限らず、憧れを抱いている世界であれば、チャンスをのがさずに逃げないで挑戦してみることは大事ではないでしょうか」

ここから上杉マネージャーの挑戦は始まります。

<後編に続く>
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チームは間もなく2023-24シーズンに向けて始動します。

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