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2022-2023シーズンを振り返って②

陥っていったアクシデントの連鎖

けっして悪い滑り出しではなかったレッドウェーブの2022-2023シーズン。
アクシデントがまったくなかったわけではありません。
選手それぞれが細かな古傷を抱えながらも、
それでも5勝1敗で新たな船出をしました。
そしてバイウィークを終え、皇后杯のセカンドラウンドに臨みます。

レッドウェーブは2008年以来、皇后杯の下賜から遠のいています。
その間も3度ファイナルに進みながら、あと一歩が踏み出せていません。
一方で、大会方式が変わった2018年以降、
2020年にはセカンドラウンドで敗退する悔しさも味わっています。
だからこそ、このセカンドラウンドで、
しかも相手が大学生だからといって、気を抜くことはできません。

結論から言えば勝ちましたが、
どこか消化しきれない、悶々としたゲームでした。
それだけなら、あるいは反省のしようがあったかもしれません。
しかし、ここから2022-2023シーズンのレッドウェーブを苦しめた
アクシデントによる“負の連鎖”が静かに始まっていきます。

始まりは宮澤夕貴選手のケガでした。
試合中にケガを負い、そこから少し長期の療養に入ります。
彼女は単に3ポイントシュートが上手だとか、
リバウンドが取れるというだけではなく、
コート上でチームメイトを鼓舞できる、精神的な支柱でもあります。
そんな宮澤選手の離脱は、これからチームとしての精度を上げていくうえで、大きな損失だったことは言うまでもありません。

翌週は3年ぶりの旭川シリーズ。
町田瑠唯選手にとっては、WNBAでのプレー後初の凱旋ゲームでもあります。
結果は1勝1敗。
勝敗もさることながら、このゲームで内尾聡菜選手がアクシデントに見舞われます。
宮澤選手に続いて、ディフェンスの要も失うことになるわけです。

皇后杯のファイナルラウンドはセミファイナルで敗れますが、
そこからWリーグの“クリスマスゲーム”、“ニューイヤーゲーム”を相次いで落とし、
皇后杯も含めると5連敗。
特にクリスマスにおこなわれた三菱電機コアラーズとのゲームは、いずれも1点差の敗戦です。
スポーツに「たられば」はありません。
そうわかっていながら、2人の存在の大きさを改めて痛感させられました。

それだけではなく、大晦日のデンソー戦では、
センターとしてインサイドを担っていた藤本愛妃選手が離脱するなど、負の連鎖は続きます。

もちろん悪い話ばかりではありません。
元日におこなわれたデンソーアイリスとの試合では、町田瑠唯選手が通算2000アシストを達成しました。
チームとしても1月6日、7日に、とどろきアリーナでおこなわれた姫路イーグレッツ戦で、
感覚過敏の子どもとそのご家族が安心して観戦できる「センサリールーム」を設置したり、
1月22日のアイシン ウィングス戦では「センサリールーム」の設置に加えて、ウクライナから避難されている方々を招待するなど、
社会貢献にも寄与しました。

話は前後しますが、1月6日の姫路戦からはアーリーエントリーの大学生3人が加わり、
同14日の新潟アルビレックスBBラビッツ戦からは内尾選手も戦列復帰を果たしています。
チームとしてはまだまだ万全な状態とは言えませんが、
宮澤選手の復帰にも目途が立ち始め、少しずつチームが“快方”へと向かっていく兆しがあったのです。


負の連鎖を断ち切れず、クォーターファイナル敗退

しかし2度目のバイウィーク期間中(1月23日から2月24日まで)に、
得意のドリブルでチームにアクセントをつけていた赤木里帆選手が戦線離脱。
また体調不良による治療専念から渡邊悠選手が休養に入ってしまいます。

さらに試練は続きます。
2度目のバイウィーク明けは、
平塚でおこなわれたシャンソン化粧品シャンソンⅤマジック戦でリスタートです。
その初戦こそ20本の3ポイントシュートを沈めて<104-64>で快勝しましたが、
翌日からレギュラーシーズンが終わるまで、
レッドウェーブに欠かせない3ポイントシュートの精度が著しく下がっていきます。
なぜだったのか。
いまだに原因はわかりません。
誰もが日々のシューティングを欠かさず、むしろより意識を向けていたにも関わらず、
ちょっとした感覚のズレなのか、
意識するあまりの力みなのか、
それとも疲労の蓄積なのか……
毎試合15%前後に留まります。

さらにシャンソン化粧品から戦列復帰を果たしていた宮澤選手が、
復帰4試合目となるトヨタ紡織サンシャインラビッツとの第2戦で、
またもアクシデントに見舞われます。
結果として、宮澤選手はレギュラーシーズン最後の4試合の欠場を余儀なくされます。
プレーオフに向けて、最後の仕上げを施したい。
そう思っていたときのアクシデントでした。

迎えたプレーオフ。
宮澤選手が何とか間に合う一方で、町田選手をバックアップしていた岡田英里選手が今シーズン2度目の長期離脱 。
藤本選手は間に合ったものの不安が残る中で、全員がいつでも出られるという状態を作れないまま、セミクォーターファイナルを戦いました。
そこではオーバータイムの末に日立ハイテククーガーズを破りますが、
翌日におこなわれたクォーターファイナル、ENEOSサンフラワーズに<69-76>で敗戦。
レギュラーシーズンの第2週から、チームの精度を高めてきたENEOSと、アクシデントからそれを磨き上げられなかったレッドウェーブ。
国内最高峰のWリーグで戦ううえで、チームを高め、磨き上げることの難しさを改めて痛感させられました。
同時にレッドウェーブの2022-2023シーズンはそこで幕を下ろすことになります。

苦しんだ先に見られる光景を目指して

相次ぐアクシデントに苦しんだシーズンでしたが、
まったく光が差し込まなかったわけではありません。


宮澤選手がコートから離れている間、
田中真美子選手はもがきながら、自分のあるべき姿を見出し、ディフェンスやリバウンド、味方に合わせることでチームに欠かせない選手へとステップアップしました。
ベテランの中村優花選手も、序盤こそやや出遅れましたが、藤本選手が離脱するなかで、経験と持ち前のパワーで存在感を示してくれました。
特にENEOSとのクォーターファイナル、最終盤の追い上げは中村選手の意地を見た気がします。
岡田選手、藤本選手、赤木選手はケガで苦しみましたが、3年目以内の次世代を引っ張る選手として、若い足跡をしっかりと残していました。

移籍1年目の江良萌香選手は、シーズンを通してトップレベルの戦いを続ける難しさを感じながら、プレーオフでは迷いを断ち切り、本来の姿を取り戻してくれました。
奥伊吹選手、山下詩織選手はプレータイムの少ないシーズンでしたが、ベンチで誰よりも声援を送り、笑顔を絶やさない姿勢はレッドウェーブに欠かせないものでした。
アーリーエントリーの3人、ジョシュア ンフォンノボン テミトペ選手と安江沙碧梨選手、伊森可琳選手は、間違いなくレッドウェーブの未来です。

内尾選手はアクシデントからの復帰後も、けっして万全とは言えないコンディションの中で、最後まで彼女の最大の武器であるディフェンスでの安定感を崩さず、
町田選手は、例年以上に大きな注目と声援を受けながら、苦しいチーム事情のなかでも最後までチームの中心であり続けました。
むしろシーズンの終盤に得点への意識をさらに上げるなど、これまでとは異なる勝利への執念を、外から見てもわかるほどに見せていました。
そしてキャプテンの宮澤選手。
誰よりもアクシデントに苦しみ、それでも責任感の強い彼女は、チームメイトにアドバイスを送り続け、復帰後もオールラウンドに勝利への姿勢を強く示していました。
移籍2年目の宮澤選手ですが、彼女が示した姿勢こそが、これからの
“RedWave PRIDE(レッドウェーブプライド)”
になると言っていいでしょう。

休養に入った渡邊選手を含めた15人の選手と、平松浩樹顧問、浦田幸輔後援会長、丸山茂実部長、BTテーブスヘッドコーチ、日下光、後藤祥太両アシスタントコーチ、平井悠斗ストレングスコーチ、大島久美子ヘッドトレーナー、藤巻みのりトレーナー、上杉瑠香チーフマネージャー、原田知歩、大原千佳両マネージャー。
総勢27人で戦った2022-2023シーズン。
成績は思い描いたものではありませんでした。
しかしアクシデントにアクシデントが重なる嵐のようなシーズンを乗り越えた先には、きっと素晴らしい光景が広がるはずです。
レッドウェーブを照らす大きな朝日が昇ってくるはずです。

今は凪の時期。
来秋から始まる次のシーズンで、レッドウェーブは再び大きなうねりを挙げて、
日本最高峰の女子バスケットボールリーグ、Wリーグを戦っていきます。

2022-2023シーズンのご声援、誠にありがとうございました。

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来シーズンも、みなさんとともに!
引き続きのご声援、よろしくお願いいたします!
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