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なぜあなたの報告はボスをイライラさせるのか?~その原因と対策まとめ

「もっと要点をかいつまんで報告してくれ!」
仕事の報告でボスをイライラさせたことのある人は多いと思います。では、なぜボスはイライラしたのでしょうか?

「そりゃあ…私の報告が『かいつまんで』いなかったから…」

では、「かいつまんで」いる報告と「かいつまんで」いない報告では、何が違うのでしょうか?

結論から述べると、かいつまんだ報告は次の3つの条件を満たしています

(1)前回の報告と今回の報告との関係を説明している
(2)結果に直接関係する事実を明らかにしている
(3)次のアクションが具体的である

そして、かいつまんだ報告とかいつまんでいない報告との違いは、この条件をきちんと満たしているかいないかなのです。これらの条件を順番に説明しましょう。

1.ボスは前回の報告内容を覚えていない

何の前触れもなく、こんな話を誰かに報告されたとします。

「前回の結論を踏まえて、追加でテストマーケティングを行いました。今回のテストマーケティングの内容は…(詳細な説明)…です。その結果『水色のマスクは売れない』と推測できることが分かりました」

ほとんどの人はこう思うでしょう。
「それナンの話!?」

ボスもほとんど同じ気分になるはずです。他の仕事のことで頭がいっぱいで、部下が報告した「前回の結論」など基本的に覚えていないからです。そのため、今回の報告の前提(前回の結論)をすっ飛ばすと、たいていナニソレ状態に陥ります。

これを解消するためには、「前回のテストマーケティングでは、『ピンク色のマスクは売れない』と結論づけたため、『水色のマスクも売れない』と仮説を立て、今回はそれを検証したところ…」など、前回の報告と今回の報告との関係を説明する必要があります。

2.ボスが知りたいのは結果に関係することだけである

ボスは責任者として結果責任を負っています。その責任を果たすために知るべきことは、結果に直接関係することだけです。逆に言えば、それ以外のことを知る必要はないのです。

例えば、ボスが「新しい市場を開拓できる画期的なマスクを開発する」という結果責任を負っており、そこで「色つきのマスクは売れるのか?」を知りたいと考えている場合、最終的に知りたいことは「色つきマスクは売れる」または「売れない」という結果のみです。

「今回は『水色のマスクは売れない』と推測できることが分かった」という報告は、断片的な結論を示すだけで、最終的な結果に直接関係しません。そのため、ボスは「結局『色つきマスクは売れる』と言えるの? 言えないの?」と疑問を持つでしょう。

これを解消するためには、「『色つきマスクは売れない』という結果を予想する根拠が1つ増えました」など、結果に直接関係する事実を明らかにする必要があります

3.ボスは部下の仕事の進捗を管理する必要がある

ボスは部下を動かして結果を出すことを求められています。そのため、報告した部下が次に何をするかを確認し、その進捗と方向性を確認したいと考えます。

例えば、「売れる売れないを早く判断したい」と考えているなら、「『日本では白は衛生のシンボルという固定観念があるため、衛生用品であるマスクに色を付けても売れない』を検証する」というアクションを期待しているでしょうし、「慎重に判断したい」と考えているなら、「『薄黄色のマスクは売れない』を追加検証する」を期待しているでしょう。

いずれにしても、進捗と方向性を確認するためには、次のアクションが具体的である必要があります。場合によっては、そのアクションが結果とどう関係するかを聞かれることもあるでしょう。

4.報告のフォーマット

最初に例示したダメ報告を図解すると、次のようになります。

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ダメ報告では、上記3つの条件をまったく満たしておらず、ボスが知りたいと考えていることに何ひとつ答えていません。これが「かいつまんでいない」の正体です。

これに対して、模範的な報告を図解すると、次のようになります。

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これなら、深い予備知識がなくても、スッと頭に入ってくるのではないでしょうか。

それは、
(1)結果に直接関係する結論を最初に明らかにし、
(2)前回の報告と今回の報告との関係を説明し、
(3)次のアクションを具体的に説明しているから
です。

実は、こうした「かいつまんだ報告」を簡単に構成するための形式として、次のような黄金フォーマットがあります。

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そして、赤色で強調しているように、このフォーマットでは、各ボックスに記載される個別の内容が重要なのではなく、各ボックス間の関係の方が重要なのです。

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例えば、「前提・背景」と「課題」とは、「しかし」という逆説の関係が成り立っているはずです。これまでの背景・前提があっても、なお課題が生じているからです。

また、「課題」と「効果・結論」は、裏返しの関係が成り立っているはずです。今回の例では、「検証が必要だった」(水色のマスクは売れないということは分からなかった)と「売れないと推測できることが分かった」が裏返しになっています。

このフォーマットに則ってボックスの関係性を意識しながら報告すれば、自動的に上記3つの条件が満たされます。その結果、ボスを満足させることができるでしょう。

報告だけでボスに負担をかけるとロクなことがありませんので、日頃からこの枠組みを意識して報告したいところですね。

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…という内容を、拙著で詳細に説明しています。

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「テクニカルライティング」がメインタイトルに入っているとおり、若手のエンジニア・研究者を対象とした本ですが、この黄金フォーマットに基づく枠組みは汎用的に使えます。

というわけで、拙著の続編を書いています。伝えたいことを一言で説明すると「黄金フォーマットを使って思考を構造的に言語化すれば、科学的な問題解決に繋がるため、あらゆるビジネスシーンで成果を出せるよ」ということです。

乞うご期待!

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・本稿は、「面白い文章を書けるようにするクラブ」のレビュアの皆さまからアドバイスをいただいて執筆しました。ありがとうございます。
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