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後継者志望者から見えたMUJUN WORKSHOPの軸

こんにちは。MUJUN WORKSHOPの鍛冶師 藤田純平です。

当工場が稼働して程なくから定期的に「将来鍛冶屋になりたい」という方からの問い合わせが多く寄せられています。

そしてこの春、新たに1名の若者が当工場で鍛冶修行をはじめました。
(2020年7月現在では私含め3名の若者が日々汗を流しております。)

実際に当工場が開設されて丸2年となる今、鍛冶を志す様々な人達との出会いから紐解く『MUJUN WORKSHOPの軸』をまとめてみました。

1.MUJUN WORKSHOPって?

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まずは鍛冶工場 MUJUN WORKSHOPについて簡単に解説します。

当工場はデザイン会社シーラカンス食堂の運営する"鍛冶職人育成工場"です。

シーラカンス食堂は、拠点を兵庫県小野市に構えるデザイン会社であり、地元の産業である刃物(鋏や鎌が盛ん)を「播州刃物」という地域ブランドを作ることで海外への販路を拡大させる取り組みをしてきました。

2017年の記事ですが、播州刃物の生まれた経緯や当初の取り組みがまとめてありますので、詳しく知りたい方はコチラへ↓

崩壊寸前の産地を「播州刃物」に再生して海外販路を開拓【前編】

そんな中、廃業なさる職人さんが増えてきて「人気はあるのに作れない」という現象が起こります。

"いよいよ販路開拓だけでは刃物業界は良くならない。今 後継者を育てなければ技術が途絶えてしまう。"

と2017年から自習型鍛冶工場の設営に着手します。

そして2018年春から私が後継者第一号として工場設営の段階から参加し、現在では"鍛冶職人育成工場"として日々作業をしております。

2.これまでにないモデルケース

MUJUN WORKSHOPは師匠のいない鍛冶工場です。

弟子入りは厳しい

自習してわからない事があれば聞きにきていいですか?

それならOK

という流れのもと、技術継承をはかろうと取り組んでいる工場です。

こういった流れの鍛冶工場は前例がなく、果たしてうまくいくのか?と私も当初は不安でいっぱいでした。

しかし、私はこれをチャンスと捉えこの工場を発展させようという思いで今までやってきました。

・独りよがりにならない
・自己満足で片付けない
・多様な分野で応用可能なモデルケースに

鍛冶職人として腕を磨く一方でMUJUN WORKSHOPの利点を最大限に引き出す活動を目指してきました。

その内の1つが未来の後継者達とのディスカッションでした。

これまで20名以上の後継者志望の方々と出会い話をし、時には他の鍛冶工場への入社をサポートする事もありました。

3.MUJUN WORKSHOPの職人達

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数いた後継者志望の中から2名が加わり現在3名の鍛冶職人がいるMUJUN WORKSHOP。

他の鍛冶屋では人手不足なご時世に、なぜこんなにも人が集まってくるのでしょうか?

正直、収入が良いとは言えません。
条件だけ見れば"好きだからやれているのだろう"と思われているかもしれません。

あながち間違いではないのですが、実はこの3人には共通する点があります。

それは、『どうやって生きていこうか』という問いを鍛冶を通して模索しているという点です。

はっきり言って、師匠がいない工場で鍛冶職人を志すなんてリスキーこの上無しなのです。

でも、ある時わかっちゃったんだと思うのです。

"これ やってのけたら革命なんじゃない?"って。

そして私をはじめ周りの環境や実績が付いてきはじめた今、"これ自分にも出来るかも?"っていう希望がスッと心に入り込んできた人が出てきはじめているのです。

この流れは今後拡大していくと予想しております。
ようやくムーブメントの香りが漂ってきました。

4.後継者志望者から見えたMUJUN WORKSHOPの軸

これまでたくさんの後継者志望者達と交流し、その中から実際に職人になった人を見てきました。

この"なれた・なれなかった"の差からMUJUN WORKSHOPの軸が見えてきました。

MUJUN WORKSHOPは単なるお仕事としての鍛冶職人を育てる工場ではありません。

"どうやって生きていこうかの問いに対する考えをもった人"を育てる工場です。

鍛冶職人という社会的立ち位置を通して、自分と向き合い自己研鑽を続けていく為の工場なのです。

ですから、単に刃物を作れるようになりたい方や職人という仕事に憧れをもっているだけの方は尽く当工場を後になさります。

あなたはどう生きたいですか?

人として、大きく深く鍛錬を積んだイケてる鍛冶職人を目指す事を軸に、MUJUN WORKSHOPはこれからも鎚を打ち込み続けます。


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