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「日本史を変えた八人の将軍」が面白い

寝る前に少しづつ読んでいるので、なかなか進まないのですが、今、こんな本を読んでいます。

将軍がわかれば、日本史がわかる
日本史のなかで、700年にわたり政権の座にあった武家。その中心である将軍が日本史におよぼした影響について、将軍8人と将軍にならなかった2人から読み解いていく。鎮東将軍、征西将軍などさまざまな将軍があるなかで、なぜ征夷大将軍だけが武家の棟梁とされ、幕府を開くことができたのか。将軍権力(軍事と政治)はどのように変化していったのか。そして、彼らは日本史をどう変えたのか。中世政治史を専門とする東大史料編纂所教授と、『家康、江戸を建てる』などで知られる直木賞作家が、知識と想像力の限りを尽くして、命題に迫る!

このところ、やたらと本を出している本郷和人先生と、作家の門井慶喜先生の対談による歴史再認識本です。

登場する将軍は以下の通り。

第一章 坂上田村麻呂――すべてはここから始まった
第二章 源頼朝――頼朝が望んだのは征夷大将軍ではない!?
第三章 足利尊氏――うかがい知れない英雄の心中
第四章 足利義満――最大の権力者が求めたもの
第五章 織田信長と豊臣秀吉――将軍権威を必要としなかった覇者
第六章 徳川家康――今も影響を与え続けている家康の選択
第七章 徳川吉宗――幕府中興の祖がなしえなかったこと
第八章 徳川慶喜――英明か、凡庸か。勝利者か、敗残者か
第九章 西郷隆盛――近代最初の将軍であり、封建制最後の将軍

いわゆる幕府を開いた将軍もあれば、将軍を語るのに必要なアンチ将軍(信長と秀吉)も含めて全部で10人について語っています。

まだ、第5章が終わったところなので、ようやく半分ですが、この二人の語りの切り口が重なり合いながらも異なることで、その人物の浮き上がり方が変わってきて面白いです。

歴史家は史料から、小説家は想像力から、人物に迫るのですが、意外に、歴史家である本郷先生による想像と、門井さんの調べ物の結果の組み合わせになる人物がいたりするのも楽しい。

中世史が専門の本郷先生が調べていないことを、小説にするために資料として読んでいる門井さんの方が詳しいこともあったりするから、二人で進めていく楽しさがあります。

内容でいうと、将軍家は3代目が重要だという仮説を門井さんが出します。確かに、鎌倉幕府は3代目で途絶え、北条得宗家による実効支配の時代になり、室町幕府は三代将軍義満が頂点を築き、将軍という言葉から今私たちがイメージするものを形作った。江戸幕府は、三代将軍家光が、盤石な体制を築き、江戸時代の平和を司った。

なるほど、3代目は確かにキーパースンですね。では、なぜ?

さらに今、鎌倉幕府、室町幕府、江戸幕府と書きましたが、一つだけ違いがありますよね。

そう、室町幕府だけ、幕府を開いた都市の名前では無いのです。では、室町とはどこか。

そういうことを知る楽しさもこの本には満ちています。

将軍といえば、征夷大将軍だと思ってしまいますが、実は、征夷大将軍は数ある将軍職の一つで、しかも、強い権限が保障されているものでは無いというのです。では、なぜ、源頼朝は平氏を倒して征夷大将軍になったのか。それには、坂上田村麻呂を知らなければならない。

平清盛はなぜ征夷大将軍では無いのか。

信長も征夷大将軍をもらう前に本能寺で亡くなるわけですが、それはなぜか。

秀吉は、関白から太閤(関白を譲った人)へとなるわけですが、武士で関白になったのは、秀吉と秀次だけです。あとは藤原家が代々なっている。秀吉も、関白だった近衛前久の猶子となり、関白になります。つまり、関白になるのは正当性が必要だからなのですが、なぜ、秀吉は将軍ではなく関白になったのか。

そういうWHYが解き明かされています。

また、門井さんが小説に書こうとしたのは誰だったのか、というのも「家康、江戸を建てる」を楽しく読んだものとしては気になります。

それは、足利尊氏と秀吉なんだそうなのですが、どんな話になったのか、そういうところも語っているので、嬉しいです。

年末年始の歴史ドラマなどを見るにあたっても、読んでおくと楽しいかもしれません。

これは2019年の正月ドラマでした。

よろしければ、こちらからどうぞ。



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