M-1グランプリ2021は史上最高齢の優勝者が出た節目の大会だったかもしれない
終わりの始まり2019
この時期になるとありがたいことに、この記事へのアクセスが増えます。
笑いの世界で上が使えている感じがする最たる番組がM-1かもしれませんね。審査員を見ていると。
ペコぱとミルクボーイとかまいたちというスターを産んだ2019年。
マジカルラブリーとおいでやすこがと見取り図を世に出し、漫才とは何かを日本中の話題にした2020年。
ついにM-1は漫才とは別の新ジャンルになってしまった。バスケと3オン3とか、斜面を滑るスノボやスキーとハーフパイプを滑るスノボやスキーなどがそうであるように、似て非なる特性が必要な分化をしてしまったのだと思います。
2021年のM-1は錦鯉だった
そして2021年は、すでに多くの記事が出ていますので、お分かりのように錦鯉が優勝しました。
後出しになりますが、決勝進出者が発表された時点で、今年は、錦鯉とオズワルド、敗者復活の3者の争いになるのではないかと予想していました。若くないことを強みにする錦鯉と、若手が漫才力をつけM-1での場慣れもしてきたオズワルド。この2強だろうと。
そこに予選でインディアンスが抜群のM-1力(手数)で食い込んできました。
彼ら上位3者の評価では、審査員の間に、それほど差がないわけです。ただ、決勝全体としては採点が分かれ、得点差が目立った大会でした。
その辺りをデータ解析する人がいるのは現代的です。
ちなみに、7人の審査員が固定された18年以降で比較して、21年オズワルド665点は19年ミルクボーイ681点に次ぐ第2位です。そうした制限が無くても、第4回アンタッチャブル673点、第9回笑い飯・第10回パンクブーブー・第10回笑い668点に次ぐ第6位の高得点なのです。
加えて優勝決定戦に進む第3位が655点というのは、過去そうありません。それぐらいレベルが高かったと思います。
その意味においては、個人の思い入れが入る余地もなく、満場一致の上位3組だったでしょう。すなわち、それ以下の組の採点において「上沼恵美子の採点が変だ」というのは、言い換えれば「私の感覚と合わなかった」と同義語と見做して良いと私は考えています。
レベルが高いから採点に目がいったのではないかというところもあるでしょう。でもそれだけではなさそうです。
M-1と審査員に乖離はあるのか
2020年の記事の最後に私はこんなことを書きました。
番組作りとしては、審査員が鍵になってきましたね。すでに、M-1の抱える問題は、漫才師の頂点ではなく、さんぱちマイクを挟んで二人で何かするというM-1というスタイルの頂点を審査できる人が誰か問題なのかもしれません。
M-1は漫才という枠を超えて独自進化を始め、その進化に審査員がついていけるかがどうかが鍵になってきたと感じていたからです。
そんな目で見ているせいか、今年は、審査員の採点について書いた記事が目につきます。
今回、最高点と最低点の差が最も大きかったのは10点差の上沼。ハライチとインディアンスに98点をつけ、絶賛した。惜しくも4位となったロングコートダディの得点が649点で、そのほかの審査員はインディアンスとの得点差がほぼ横ばいとなっている点を踏まえると、インディアンスをファイナルに押し上げる大きな後押しになったと言える。
審査員を見る目が厳しくなり、その採点に目をつけた記事が増えているのではないでしょうか。
今大会の採点、特に前半は審査員の評価がよく割れた。高く評価する人がいる一方で、最低点をつけている人もいる、という状況がつづく。ランジャタイとハライチに至っては、最高点と最低点が同時についている。
ランジャタイがおかしなネタで来るというのは事前から分かっていたことなのに、それでも審査員が頭を抱えるというのは、ある意味では想像を超えているわけで、それだけに志らく師匠は「自分の分からないものに高得点をつける」という姿勢で最高点をつけている。それをどう他の審査員は評価したのか。
また、敗者復活であがってきたハライチが、今までM-1で見せてきたような澤部の挙動不審ではなく、岩井が吹っ切れたネタを見せたことに、馴染みが薄い上沼恵美子が絶賛したのに対して、関東勢(塙、富澤)が戸惑い、さらにハライチに馴染みがあるだろう客席が戸惑ったことで得点を伸ばしきれなかった。
M-1の進化に適応するのか、抗うのか、出場者も必死だが、審査員も必死なのが、今回のM-1の見どころになっていました。
審査員が変わればM-1は変わるか
そんな審査員のコメントを全文起こしている人がいたりするのがブログの面白いところ。
21年12月19日放送のテレ朝系「M-1グランプリ2021」では出場エントリー全6017組の中から漫才日本一を決定。そこで決勝審査員コメントも含めて得点、順位など17代目王者を巡る優勝争いの結果について一覧でまとめてご紹介。
審査員のコメントが残り、そのコメントを土台にしてネタができたり、因縁がネタになったり、ここ数年の審査員と出場者の関係は、昔とは変わってきたように思います。
それは、審査員が言いっぱなしでいいような時代ではなく、また出場者が一方的に審査される時代でもなくなってきたこと、そこにSNSでのコメントが絡んで、批判する外部存在が大きくなってきているという社会の変化を反映しているのかもしれません。
テレビを見ながら採点するYoutubeを発信したり、実況で呟いたり、参加の仕方も、その発信の仕方もテレビを材料に多彩になってきています。
現在のお笑いを語る力では最強だと思うサンキュータツオさんに審査してもらいたいと思う一方で、絶対受けないだろうとも思います。
語る力とコメント力は違いますからね。
そして同じ審査員で4年やってきて、もうやる側も辛いということで、巨人師匠と上沼さんは今年限りとおっしゃっています。
そして上沼から「私巨人さんが出はるって聞いて今年も来たんよ!」。巨人は「え、僕も上沼さんが来はるって聞いて(笑)」。その上で「二人で約束しました!今年で卒業することを!」と巨人、上沼ともに卒業することを示唆した。
じゃ、次は誰なのか。
こんな番組もあったそうです。
上田晋也、山里涼太(南海キャンディーズ)、春日俊彰(オードリー)、鈴木もぐら(空気階段)が審査員として舌戦を繰り広げる。
山ちゃんはあるかもしれませんね。春日じゃないとは思いますが。
テレビだけではなくラジオで語っている人も多いですね。
ナイツ塙さんが2021年12月20日放送のニッポン放送『ナイツ ザ・ラジオショー』の中で審査員を務めたM-1グランプリ2021の決勝戦を振り返り。漫才協会の仲間、錦鯉の優勝を祝福していました。
これも書き起こし系の記事です。塙の苦労が感じられます。
それにしても、評論家とか芸能記者というのはどこに行ったのでしょうか。
一昔前ならば、芸能の賞の審査員といえば放送作家や記者や評論家がやっていた気がしますが、今ではほとんどの大会で芸人自身が務めています。
そういう意味では、来年のM-1の興味は審査員です(笑)
サポートの意味や意図がまだわかってない感じがありますが、サポートしていただくと、きっと、また次を頑張るだろうと思います。