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豚組しゃぶ庵の閉鎖はなぜIT業界を震撼させたのか

昨日は、この記事を見た後、しばらく仕事が手につきませんでした。

今では、予約サービスのトレタの社長として有名な中村仁さんですが、豚組グループを率いるグレイスのオーナーでもあります。その中村さん(ひとしさんという呼び方の方が有名かもしれません)の決意は、私には驚天動地のものでした。

冷静に考えて、六本木の国立新美術館の真前という好立地に100坪を超える店を構えるというのは、家賃で潰れかねない危険があるということです。しかも優秀な社員を数多く抱え続けてもいるわけで、六本木ヒルズの豚組食堂がビルの都合で閉鎖した時は、従業員を豚組しゃぶ庵にシフトしたりして雇用を継続してきたわけですが、驚いたことに、とんかつの方は残るけど、しゃぶしゃぶは閉鎖ということなのです。

私のような零細ブロガーなどではなく、多くの著名ブロガーやネット界隈が騒然となりました。

立ち飲み居酒屋や豚カツ専門店など複数の飲食店を運営する「グレイス」の創業者・中村仁さんが2020年6月29日、豚しゃぶ専門店「豚組しゃぶ庵」の六本木店(東京都港区)を10月末に閉店すると発表した。
閉店の理由については、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けたためと説明している。
 2007年にオープンした店。当時、黎明期だったTwitterを集客に使って話題になり、Web関連のイベントが多数開かれるなどWeb業界人にも愛された店だったが、しゃぶしゃぶ店舗という業態が、今回のコロナ禍を乗り越えられないと判断した。
「なぜ、これをガジェット系のメディアであるフリック!が伝えるの?」という疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれない。注目の理由をちょっと解説しよう。

飲食店の閉鎖ニュースが、各種ITメディアで取り上げられるという異常さを感じていただけるでしょうか。

ツイッターでは「好きなお店が無くなるのは悲しい」「オフ会で何度もお世話になりました」と惜しむ声や感謝の声が寄せられ、同日午後には店名の「豚組しゃぶ庵」が日本のツイッターでトレンド入りを果たした。

スイートポーズやキッチン南海でもTwitterのトレンド入りはしてないんじゃないでしょうか。

こうしたIT業界の反響は、豚組しゃぶ庵という店の歴史に関わっています。

ITメディアニュースの記事にもある通り、この店がTwitterを利用した集客の始まりであり、フリックが書くようにIT界隈に愛された店だからです。

六本木の新国立美術館前……という立地にあり、13年前iPhoneがUSで発表された年にできたこのお店は、Googleや、Evernoteをはじめとして、さまざまな六本木界隈のIT業界の人たちが集まるお店だった。この店があったから、起こった出会いや、始まったコラボレーションは数限りない。

著名ブロガーでは、みたいもんのいしたにさんも書いています。

豚組しゃぶ庵というのは、まちがいなくおれたちのなにかの象徴だった場所だったんです。それが一時的にとはいえなくなり、そしてあのリアル店舗そのものはなくなります。

このなかで書かれているイベントのいくつかに参加してきた私にとっても、豚組しゃぶ庵は、ここ10年で一番たくさん行った飲食店の一つであり、数々の楽しみと新しい出会いの場でした。

おねだりボーイズのイベントでも、オジ旅でも、モダフルナイトでも、本当にお世話になったし、ここに行けば、いろんなネット上での著名人に会えました。

おかげで、国バーイーツも買えるような関係になったのに。

しかし、結果として、この取り組みが、豚組しゃぶ庵閉鎖への流れを生むとは、誰が考えたでしょう。

ひとしさんは、書いています。外食が厳しくなる中、鍋という業態に人が戻ることはさらに難しいとした上で、こう述べます。

しかし、今回閉店を決断した背景には、もう1つの理由があります。それは、自粛期間中に僕らがハンドキャリーでお客さまに豚しゃぶをお届けしたデリバリーから得た気づきです。

豚組ホームセットを買い、喜びをネットにあげるみなさんの声を見て、ひとしさんは思います。

僕たちの発想がいかに「店舗」に囚われていたかに気付かされたのです。僕らは美味しい料理で沢山の人をハッピーにしたいのであって、それならば、「お店」や「来店」に拘る必要はないのかもしれない。もしかしたらお店の外にも、僕らのやりたいことを実現できる「場」は広がっているのでは?いやむしろ、店舗という縛りから自由になることで、初めて可能になることだってあるはず。あのおじいちゃんやおばあちゃんが、小さなお子さんたちが、家にいながらにして感動してくれたように。

確かに、あのセットは完璧でした。肉と野菜の他に水までついてくる至れり尽くせりぶりで、しかも豚組自慢のタレも数種類あり、そのタレのアレンジレシピを作る人まで現れるほどでした。

しかし、完璧なセットであるがゆえに、豚組のあの美味いしゃぶしゃぶが、自宅で再現可能であることを証明し、次のステップを考えるきっかけになったとは。

フリックの記事で、村上タクタさんはひとしさんの意図を汲み取って、こう書いています。

しかし、多分、元通りには戻らない。
おそらく仁さんは、戻らないという前提で、『コロナ後の飲食の新しいカタチ』を作ろうとしている。
それが、宅配なのか、地方への移転なのか、なんなのかは分からないが、多くの人の思いが詰まった豚組を閉じてでもやる価値がある、まだ誰もやっていない『コロナ後に最適化された飲食』を、仁さんと國吉さんは作ろうとしているのだと思う。

そう、あの豚バカ(褒め言葉)の國吉さんと発想の鬼のひとしさんが組んで新しいことをやるのであれば、きっとすごい「豚肉の店」ではないかと思うんです。しかも、ネット時代に適応した豚組しゃぶ庵を作ったように、ポストコロナ、ウィズコロナの飲食界をリードするような業態の店を作るのではないでしょうか。

ひとしさんは、noteでの表明をこう結んでいます。

僕はいま新しい可能性に胸が高鳴っているのも事実です。「豚組」にこんなにワクワクしているのは、何年ぶりでしょうか。そう、僕らは前に進むんです。この豚組しゃぶ庵で得たものをすべて背負って、前へ。

私には、待つことしかできませんが、また、新しい店で楽しく集まれたらいいなと思っています。

その前に、10月末の閉店まで、何度、豚組しゃぶ庵に行くことになるのか、それにも期待しています。

すでに、毎月各1くらいいきそうな感じになってますし。

豚組しゃぶ庵を愛してくれた皆さんと一緒に最後を見届けることができたら、僕は本当に幸せです。僕がトレタに専念するようになって以来、これまで豚組しゃぶ庵を支えてきてくれた社長の國吉やスタッフのみんなと、皆さんのご来店を心よりお待ちしています!!!もちろん、新型コロナウィルスへの感染対策を万全にしてお迎えしますのでご安心ください。







サポートの意味や意図がまだわかってない感じがありますが、サポートしていただくと、きっと、また次を頑張るだろうと思います。