HOW TO BUILD THUNDERBOLT

昨年、『ビッグコミックスペリオール』より依頼があって書いた『機動戦士ガンダム サンダーボルト』10周年のための原稿です。タイトルにピンと来た方はわかるように、そういう内容です。

(本文)
 『サンダーボルト』は楽しい。もちろん内容はハードで、キャラクターがたどる運命は厳しい。しかし、そこにはある種の風通しのよさがある。それが何かを考えるために、まずは少々過去を振り返ってみたいと思う。
 『機動戦士ガンダム』のプラモデルが最初に発売されたのは1980年7月。その時点で『ガンダム』の公式設定は、本編と児童誌・アニメ誌等触れられた以上のものはなかった。そこには広大な“余白”が広がっていた。
 実はガンダムのプラモデルが注目を集めるようになる直前、模型の分野では戦車ブームがあった。そのことがガンプラのブームに大きな影響を与えることになる。
 戦車ブームは、ファンの工作技術レベルアップという副産物をもたらした。ただ一方で製品ラインナップが頭打ちであったり、史実や実物に忠実であろうとする姿勢などがある種の“窮屈さ”を生んでいたという部分もあった。
 そうした状況にガンプラはうまく合致した。

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