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漫才論| ¹²⁵お笑い第1世代から第7世代にかけての「漫才スタイル」の分類から見えてくる最強のスタイルとは❓

まずは,「お笑い第1世代から第7世代にかけての『漫才スタイル』の分類」をご覧ください

第1世代から第7世代にかけて,さまざまな「漫才スタイル」が生み出されてきましたが,その中でもっとも強いのは第1世代のスタイルだと思います。ところが,M-1決勝には去年も今年もこのスタイルの漫才師はいませんでした。去年のM-1で不満が噴出した原因には,こうした状況も関係しているのではないかと思います。「最強のスタイル」なのにM-1決勝にいけないのはなぜなのでしょうか?


もっとも強くもっとも難しいスタイル

それは,もっとも難易度が高いからだと思います。次の条件を満たしていないと,このスタイルの漫才はできません

❶二人ともしゃべりがうまい
❷二人とも掛け合いがうまい
❸二人ともボケもツッコミもできる
❹古くならないセンスのいいネタが書ける

実際の第1世代の場合は❹の条件はありませんでした。当時は「漫才作家がネタを書くのがあたりまえ」だったからです。その後,「自分たちでネタを書くのがあたりまえ」になることによって❹の条件が加わり,さらに難易度が上がってしまいました。その結果,現在存在している「第1世代スタイル」の漫才師の中には,そこまで強いネタを作ることができず,「ものすごくうまいのにM-1では上にいけない」というコンビもいます

❶-❸の条件を満たしている(もしくは素質がある)コンビは,それこそが自分たちの最大で最強の武器ですから,強いネタが作れない場合は,「作家にセンスのいいネタを書いてもらう」という道も探ったほうがいいです。「漫才がうまい」という才能と,「いいネタが書ける」という才能は基本別物で,「まれに両方できる人がいる」というかんじなのだと思います

これに勝る武器はない

売れている漫才師の中でも,❶-❸の条件を全部満たしているコンビは多くありません。現役では,「オール阪神・巨人」「おぼん・こぼん」「タイムマシーン3号」「ギャロップ」などです(「キングコング」や「和牛」もこれに近いですが,❸の要素が少し弱いかんじがします)

それ以外の多くの漫才師は,❶-❸のどれかの条件を満たしていません。「一人は全部満たしている」というコンビは結構いると思いますが,二人とも全部満たしていないと「第1世代スタイル」の漫才はできません。漫才が特に難しいのはこの部分です。自分には十分素質があっても,同じくらい素質がある相方に出会うのは至難の業です(もちろんその結果,「相方の素質に合わせていろんなスタイルの漫才が生み出せれてきた」というのはいいことだと思います)

それで,❶-❸の条件を満たしている(もしくは素質がある)コンビは,絶対に「第1世代スタイル」という最強のスタイルでM-1に挑んだほうがいいです。多くの漫才師が「できない」からこそいろんなスタイルが生まれているだけで,これに勝る武器はないと思います(この点について詳しく書いてある次の記事もご覧ください)

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THE MANZAI magazine
❶「自分たちにしかできない漫才スタイル」を確立する方法 ❷しゃべくり漫才のうまさは「相槌」で決まる ❸「漫才台本の書き方」と「オチのつけ方」 ➍ボケやツッコミってどのようにして思いつくものなの? ❺「言い訳-関東芸人はなぜM-1で勝てないのか-」は"現代漫才論"ではない-ナイツ塙さんが何を「言い訳」しているのかが分かれば,関東芸人がしゃべくり漫才でM-1王者になる道が見えてくる- ❻漫才詩集「38」

フィクション漫才『煮豆🌱』-いとこい師匠のテンポで-
作: 藤澤俊輔  出演: おせつときょうた

あらゆるオチを誰よりも先に小噺化するプロジェクト『令和醒睡笑』過去の創作小噺を何回も何回も回すと"古典小噺"になる・・・はず・・・【小噺はフリー台本】