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漫才論| ¹²⁴「ボケの時代」「ツッコミの時代」って何❓-お笑い第1世代から第7世代にかけての「漫才スタイル」の分類-

「ボケの時代」や「ツッコミの時代」というのは,「ボケで笑いが起こるのか,ツッコミで笑いが起こるのか」という話だと思います。「ボケとツッコミ」のセットで笑いが起こるのは普通の漫才ですが,それ以外にどんなパターンがあるのか分類することによって,「ボケの時代」や「ツッコミの時代」があったのかを検証してみました。分類は以下の5パターンです

「ボケ」でも「ツッコミ」でも笑いが起こるパターン
「ボケとツッコミ」で笑いが起こるパターン
おもに「ボケ」で笑いが起こるパターン
おもに「ツッコミ」で笑いが起こるパターン
あまりツッコまないパターン

一般的に言われている「お笑い第1世代からお笑い第7世代」のくくりにできるだけ合わせて分類していますが,結成年や活動時期に合わせて多少調整しています。また,同じコンビでも途中でスタイルが変わったり,きっちり分類できないコンビを無理やり分類している部分もあります。ご了承ください


第1世代【1962-69 |演芸ブーム】

「ボケ」でも「ツッコミ」でも笑いが起こる

技術+発想型
夢路いとし・喜味こいし(1937-2003)
中田ダイマル・ラケット(1941-82[?])
獅子てんや・瀬戸わんや(1952-92[87])

比較的ゆっくりとしゃべり,普通の「会話」をしているようにみえるが,実はかなり早いテンポで掛け合いをしている。「うまさ」に裏打ちされた本物の「話芸」。二人ともしゃべりがうまく,どちらもボケもツッコミもできて,ネタの途中でボケとツッコミが入れ替わることもよくある。その結果,「ボケとツッコミ」のセットで笑いが起こるのはもちろんのこと,「ボケ」だけでも「ツッコミ」だけでも笑いが起こることがある。今でも通用するような「発想」のネタも結構ある

第2世代【1979-82 |漫才ブーム】

「ボケ」でも「ツッコミ」でも笑いが起こる [A]

技術+スピード型
おぼん・こぼん(1965-)
横山やすし・西川きよし(1966-1986)
ザ・ぼんち(1973-86/2002-)
オール阪神・巨人(1975-)
太平サブロー・シロー(1976-92)

第1世代のスタイルを継承しているが,「発想豊かなネタ」というよりは「日常的な話題のネタ」が多く,それを「スピード」で補うことによって「話芸」に昇華している

おもに「ボケ」で笑いが起こる [B]

スピード型
ツービート(1972-)
紳助・竜介(1972-85)
B&B [三代目](1975-83)

漫才の新しいスタイル。漫談に相槌を入れているような形で,ボケとツッコミが完全に分かれ,「笑わせるのは基本ボケ」というスタイル。ボケが圧倒的にしゃべり,ボケが圧倒的に強いため,コンビ間のバランスを保つのが難しく,ネタのバリエーションにも限界があり,飽きられやすく「短命」という印象がある。「ボケの時代」があるとすれば,このスタイルが流行った時期

第3世代【1980- |ダウンタウン】

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