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漫才論| ¹⁴⁰自然体で漫才をする方法② 「しゃべりも掛け合いもうまくなっているのに『何かが違う』と感じる"違和感"の正体」

「自分を『よく見せよう』としても不自然になるだけで,評判は上がらない」という点についてはこの記事で書きました

しかし,そんなことを言われても,「薄々そうなんだろうなぁ」と気づいてはいても,なかなかやめられない場合があります。そこでまず,なぜやめられないのか,そしてそれが,「しゃべりも掛け合いもうまくなっているのに,いつまでたっても『何かが違う』という状態から抜け出せない原因」とどう関係しているのかについて書いてみます


「相手のことを考えて行動している」
と思っている

自分を「よく見せよう」としている人は,人の目を気にしていて,相手に気を遣っているので,「相手のことを考えて行動している」と思っていることがあります。そんなふうに思い込んでいる場合は特に,「わざとらしい」「不自然」「自然体ではない」と指摘されても,なかなかやめられません。「自分は相手のことを思ってやっている。いいことをしている」と思っているからです

しかし実際には,自分のことを中心に考えています。おもに「自分の評判」のことを気にしていて,「自然体ではない」ということが相手にどんな影響を与えるかを考えていません。自分が微妙な空気(緊張感)を作り出していることにも気づいていません

それでまずは,「自分をよく見せようとすることにはなんのメリットもないし,いいことなどしていない」ということを理解する必要があります。そんなことをしても評判は上がりませんし,むしろ,煙たがられます

「自然体ではない」ことが
漫才に与える影響

本当に漫才がうまい漫才師はみんな「自然体」です。どんなにうまい漫才師の真似をしても「うまい漫才」ができない場合,その人が「自然体ではない」ということが原因である可能性があります。これは技術の問題ではないので,いくら技術を磨いても,いくら上手に真似をしても,「うまい漫才」にはなりません

「うまい漫才」を目指して努力していて,しゃべり自体はかなりうまくなってきているのに,掛け合いもかなりうまくなってきているのに,「何かが違う」と感じる場合は,自分が「自然体かどうか」ということを検証したほうがいいと思います

「何かが違う」と感じる違和感の原因はこれ以外にもいくつかあります。その点についてはまた書きたいと思います(③につづく)

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THE MANZAI magazine
❶「自分たちにしかできない漫才スタイル」を確立する方法 ❷しゃべくり漫才のうまさは「相槌」で決まる ❸「漫才台本の書き方」と「オチのつけ方」 ➍ボケやツッコミってどのようにして思いつくものなの? ❺「言い訳-関東芸人はなぜM-1で勝てないのか-」は"現代漫才論"ではない-ナイツ塙さんが何を「言い訳」しているのかが分かれば,関東芸人がしゃべくり漫才でM-1王者になる道が見えてくる- ❻漫才詩集「38」

フィクション漫才『煮豆🌱』-いとこい師匠のテンポで-
作: 藤澤俊輔  出演: おせつときょうた

あらゆるオチを誰よりも先に小噺化するプロジェクト『令和醒睡笑』過去の創作小噺を何回も何回も回すと"古典小噺"になる・・・はず・・・【小噺はフリー台本】