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心の距離はどのくらい?

※本記事は、藤沢市市民活動支援施設情報誌「F-wave」2024年6月号の特集記事を転載したものです。紙面全体は以下のリンクよりご覧いただけます。

「善行公民館人権講座」の一コマで、人が自分に近づいた時にどの時点で脅威を感じてストップ( 近づかないで) と言うかは人によって違うという検証の場面が印象に残り、今回はこの講座の講師をされていた湘南DVサポートセンターの理事長・瀧田信之さんに取材させていただきました。

1999年、水難事故防止のためのキャンプにボランティア参加した際、家庭でDVにあっている子ども達と出会い、衝撃を受けて「湘南DVサポートセンター」を設立しました。

当時国内ではDVの研修は男子禁制だったため、渡米して本格的に心理学を勉強し始めました。

《いじめ防止プログラム》

いじめをする子どもは何か課題を抱えている場合も多く、自分の思い通りの反応をしない相手に対して、言葉ではなく、暴力をふるったり、引きこもったりする人もいるそうです。

そこで、自分の思いだけではなく、相手のことも考えられる人になろうというプログラムを実施するため、「いじめ防止プログラム」を作りました。

例えば、相手が自分の2メートル手前まで来た時に、怖い、嫌だと感じたら、きちんと気持ちを伝える。すると相手には、そうか嫌なのかと伝わり、自分は平気でもそれぞれ感じ方が違うことに気づき、それが相手を否定せずにお互いを認め合うことを大切にするコミュニケーションに繋がります

2006年に藤沢市内の中学校で「いじめ防止プログラム」を開始しました。その後、小学校でも開始し、活動の場は、他県へと広がります。高校では「デートDV防止」のプログラムも行っています。

これまでのエピソードを紹介すると、担任している子ども達が講座中に見せる表情に涙する先生の姿や、反抗的な中学生から「ありがとう」と言われたり、石が飛んできたり、「大嫌いだ!」とアンケート用紙に書かれたりした。

そんな事すべてが、瀧田さんにとっては感動で背中を後押ししてくれたといいます。

活動を通して、子どもが学校で学んだ事と親の勝手な価値観の板挟みになっていることがとても気になっていて、子どもの居場所をどう作るかを考えるべきだといいます。

今後はコーヒー農園がそばにある教育的カウンセリングができる居場所を作り、子どもたちを社会に送り出してあげたいと未来に思いを馳せています。

《コーヒーでつなぐ人権教育》

先日、コーヒーを栽培している温室を訪問しました。温室では300鉢、他の場所の分を足すと1000鉢になるそうです。

SDGsの観点でコーヒーを取り上げ、人権、温暖化、労働問題、人種問題等に絡めて教育を始めました

知り合いがハワイでコーヒーを栽培している所で、コーヒーとその文化に魅せられ、現地で栽培に携わってきた日系人の歴史を知り、SDGsに基づいた人権教育につなげようと着目しました。

4年前からは、農業高校で人権教育と共にコーヒー栽培も指導しています。高校を卒業しても、農業に従事することは難しく、学んだことを活かせないなか、将来バリスタなどコーヒー関係の仕事につけたら、将来が拓けるという夢を持っています。

* * *

思いは子どもたち若者たち未来のために

「いじめ防止プログラム」から「コーヒー栽培を通した教育」まで熱く語ってくださいました。行動力と人脈の広さで、文科省や内閣府から要請を受け、活動は広がりを見せています。

プログラム展開とコーヒー栽培で若者を支援することの根底には、子どもたちを守り若者の未来を拓く人権という共通のテーマがあります。

設立以来25年の活動を通して、『オーダーメイドの支援』で1人でも多くの子どもが守られ、若者の未来が拓けていくことを心から願っておられることが伝わってきました。

尚、6 月29日(土)10時から12時まで「プラザdeカフェ~身近なSDGs ~『コーヒーのほろ苦い話』」を開催します。コーヒーを味わいながら、瀧田さんのお話をきいてみませんか。詳細はこちらから

団体紹介

(N)湘南DVサポートセンター
【設立】1999年
【代表】瀧田信之
【 HP 】https://kodomo-support.org/

2006年にNPO見本市に参加したことがきっかけとなり、学校で「いじめ防止プログラム」を実施し始める。小学4年生、中学1年生を対象にプログラムを展開。また、ユースリーダー(大学生)を起用して中高生の恋愛問題等のワークショップを実施。一方、SDGsの各項目を踏まえて学べるとして、「日本コナ・コーヒー文化推進協会」を事業部として置き、人権の啓発に努めている。


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