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海を守るヒーローたち

※本記事は、藤沢市市民活動支援施設情報誌「F-wave」2023年4月号の特集記事を転載したものです。紙面全体は以下のリンクよりご覧いただけます。


日本一楽しいゴミ拾い

3 月18 日、雨で肌寒い片瀬東浜には、200 人以上がNPO 法人海さくら(以下、海さくら)のビーチクリーンに集まっていました。他のレジャーなどで海岸を訪れる人の姿が見えない中、「本日の海岸は貸切りです!」と明るい挨拶で場を温めたのは、海さくら代表の古澤純一郎さん。海さくらは、江の島の海にかつて生息していた「タツノオトシゴ」が戻ってくるようなキレイな海にするため、活動しています。活動の仕方としても、ゴミが出る上流に住む人に一回でも体験してもらうために「日本一楽しいゴミ拾い」を目指して、ビーチクリーンと様々なイベントを組み合わせています。

参加者に挨拶する古澤さん(前列右から2番目)

そんな海さくらの活動から生まれたヒーロー、「海洋戦士シーセーバー」が、2023 年4 月1 日(土)からテレビ神奈川で毎週土曜日、朝9 時15 分より放送されています。今号では、放送直前のビーチクリーンにお邪魔して、活動とご当地ヒーローにかかわる人たちの想いを取材しました。

雨模様の海岸には、トングとゴミ袋を持った参加者がめいめいに散っていきました。年齢層も幼児から高齢の方まで幅広く参加しています。雨だからこそ見られた光景ともいえますが、ビーチクリーンの関係者が、まさに海岸を貸切にしている状況でした。

そうした風景を脇に、古澤さんにシーセーバーというヒーローを生み出した想いについてうかがいました。

「シーセーバーが初めてではなく、実はエノシゴくんというキャラがいたり、段ボールで制作したエノシマンというヒーローもいたんです」と、これまでの取り組みをお話しいただきました。そういった取り組みもゴミ拾いを楽しくする試行錯誤の一つですが、特に子どもたちへの想いがきっかけになっています。
古澤さんは「2017 年ごろに、子どもたちの海離れが加速しているというデータを見ました。テレビ番組にするほど力を入れたのは、子どもたちが海に来るきっかけを作りたい想いからです」と語ります。

ゴミを悪ではなく、反省として見られるように

中山省吾さん

ビーチクリーンにはテーマソングの「蒼き戦士シーセーバー」作詞・作曲者、中山省吾さんも参加しており、主題歌に込めた想いもお聞きすることが出来ました。

中山さん曰く、「よくあるヒーローにだけスポットがあたる曲ではなく、海さくらスタッフや参加者の想い、子どもたちに残したい海などを念頭に作りました。曲中の『悲しみとむなしさ拾い集めて』というフレーズには、自分たちが生んだゴミを悪ではなく、反省として見られるようにというメッセージを込めています」とのことです。

「ゴミ拾い隊長」特撮Boyz

特撮Boyz

比較的多い参加者層は、若い女性でした。参加のきっかけ作りには、「海さくらゴミ拾い隊長」である「特撮Boyz」の存在が大きいように見えました。ゴミ拾いの合間にメンバーと談笑したり、写真を撮っている参加者もいます。

リーダーの翼さんにビーチクリーンに関わる想いをうかがうと、「僕たちはヒーローアイドルとして活動しています。『ゴミ拾い隊長』のお話が来た時、人の役に立てるヒーローとしての活動ができる機会をいただけ、とてもうれしく感じました。ビーチクリーンにいらっしゃる社会人や学生の方も同じようにヒーローであり、たくさんの学びがあります」と語りました。

メンバーはシーセーバーのドラマにも出演しているとのことで、現実のビーチクリーンとの地続きになる世界観を支えているように感じました。

おわりに

特撮ドラマの放映で子どもたちを惹きつけ、アイドルの協力を得て若者世代を惹きつける海さくら。5 月27 日には、ゴミ拾い後に元プリンセスプリンセスの富田京子さんらがライブを行う「昭和ロックごみ拾い」も企画しています。その姿勢からは、一人でも多くの人にボランティアに関わってもらうことへの情熱と、人を惹きつけることができる人たちを惹きつける力を感じました。シーセーバーというヒーローには「海を愛する人であれば変身できる」という特徴があります。設定を通じて、海さくらから参加者・関係者への深いリスペクトが伝わってきます。

団体紹介

NPO法人海さくら
【設立】 2005年12月
【代表】 古澤 純一郎

 NPO法人海さくらは、2005年12月より神奈川県江の島の海に、かつて生息していた「タツノオトシゴ」が戻ってくるようなキレイな海にするため、「楽しい」「体験」「体感」をキーワードに、今までにない挑戦をしつづけています。毎月のゴミ拾い・年中無休のゴミ拾い・面白いゴミ拾った選手権・映画製作・タバコのフィルターでカヌー制作など、これからも「目指せ!日本一楽しいゴミ拾い!」を合言葉に、挑戦してまいります。ぜひ、江の島で一緒に楽しみながら海をキレイにしましょう!!



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