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MANABIYA Report vol.35【秋田大介さん】

2020.2.29(土)19:00~21:00
びぃぷらす
つながるマチ 、つなぐ未来~みんなの声が元気玉~
神戸市企画調整局つなぐ課特命課/NPO法人須磨ユニバーサルビーチプロジェクト副理事長/Kobe Mural Art Project実行委員会 代表 秋田大介さん

1.はじめに

面白い公務員
まちなかで活動をしていると『面白い公務員』さんに出会うことがあります。彼らはなぜ面白いのでしょうか?
公務員=堅い・動きが鈍い・融通が利かない
と言ったイメージがあると思います。でも、公務員の前に「面白い」をつけると、
面白い公務員=柔軟・動きが軽い・融通が利く
に変わります。そんな彼らの代表のような方、神戸市職員の秋田大介さんをおよびして面白い公務員さんは何を考え、どんな行動をしているのか?をお聞きしました。

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2.自在につなぐ神戸市職員

(1)ビジョンでつなぐ三宮の未来
神戸市で土木職として働いている秋田さん。秋田さんは数々のプロジェクトに携わる中で、地方公務員が本当にすごいと思う地方公務員アワード2019で受賞をされています。そんな秋田さんご自身が「人生が変わるきっかけとなった仕事」とおっしゃったのが三宮の再整備プロジェクトです。このプロジェクトではビジョンを描くことから携わったそうです。そして秋田さんが描いた「三宮クロススクエア」というプロジェクトは自動車交通の要所となっている三宮交差点を歩行者に開放するという壮大なビジョンでした。この計画には利害関係に関わるさまざまな企業や関係者から意見が出たそうですが、未来の姿として現在もプロジェクトが動いています。

(2)笑顔でつなぐまちの主人公たち
作るだけではなくまちの未来を発信することも大切という想いから、1000SMiLEというプロモーション活動も始められました。これは市役所が発信するのではなく、市民一人一人がまちの主人公となって神戸の魅力を発信してもらおうという企画です。現代はSNSなど口コミが発信の大きな力となっています。だから、市民が発信したくなるようなカッコイイプロモーションビデオを1000組分つくってあげる。そしてその動画をウエブサイトにあげることで、出演した1000組の人たちが伝えていくという仕組みです。
この取り組みは2年半続きましたが、このおかげで秋田さんは1000組の神戸市民と繋がることが出来たそうです。そして、そのつながりから秋田さんの元にさまざまな市民の声が集まるようになりました。

(3)課題でつなぐ市民と行政
市民の声をどう行政課題に反映させるか?秋田さんは「切り口はいろいろ」とおっしゃいます。例えば、まちなかでキャンプをやりたいと話す市民がいました。でも、なかなかまちなかでキャンプなんてできません。そこで、防災の観点を取り入れたら出来るのでは?ということで話を進めたりしたそうです。
そうやって、市民と行政を繋いでいく中で、いまは「つなぐ課」というちょっと変わった部署で「つなぐ」仕事をされているそうです。
では、私たち市民は行政さんと協働したいときどこに相談すればよいのでしょうか?秋田さんは「知り合いを作ること」を勧められました。いくら組織といってもやはり人の集まりです。だから、知っている人からの相談となると信用度が高まり、話が進みやすくなります。なので、行政さんとのパイプを作って置くことが大切とおっしゃいました。

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3.助け合える文化をつくる

(1)広めるための副業申請
秋田さんは初の副業する公務員としても有名です。なぜ、副業申請をしたのでしょうか?それは所属するNPO法人須磨ユニバーサルビーチプロジェクトのPRのためでした。初の副業する公務員として有名になればNPO法人に取材があつまる。そうすることで、NPO法人の活動を世の中に伝えることができる。そう考えて副業申請されたそうです。なので、金額はお話されませんでしたが、お給料は少額だそうです。
どうにかして小銭稼いだろうなんて思っている僕からすると、ホント偉いな~と思います。

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(2)広がる「おせっかい」
その須磨ユニバーサルビーチプロジェクトの活動ではいろんな「おせっかい」が広がっているようです。
そもそも、「おせっかい」とはどういうことでしょうか?「おせっかい」が広がる活動、その源流はNPO代表の木戸さんがオーストラリアで見た体験にありました。
車いすに乗る人たちは砂浜には入れません。でも、オーストラリアでは車いすでも砂浜に入れるようにビーチアクセスマットを敷いていました。海辺までたどり着いて「はい、おしまい」そんな気分にならないですよね。その時、周りの健常者たちがその人を抱きかかえて海に入れてあげていたそうです。こんな「おせっかい」が須磨に広まって欲しいという想いから活動が始まりました。
まず、ビーチアクセスマットと海にも入れるフランス製の車いすをメンバーがお金を出し合って購入しました。車いすの人が海に入れるよう支援したり、車いすのまま木登りしたり、いろんな人の「できない」を「できた!」にしていったそうです。そして、障がいのある人もそうでない人も同じように楽しめるよう、周りには子供たちも同じように遊べるようにしました。そんな体験をすると、周りの人が勝手に障がい者の方を砂浜に誘ったり、水着を貸してあげたり、いろいろな「おせっかい」が生まれたそうです。その光景をみて、秋田さんは誰もが助け合える文化が須磨にも根付いてきていることを感じたようです。

4.価値に応じた暮らしが出来るまち

(1)市民が支える芸術
秋田さんは元ダンサーです。それも、相当のレベルだったそうです。プロの気持ちがわかる秋田さんだから、「簡単にプロに無償でお願いすることはよくない」と言われました。プロがプロとして生きていけるまち。それはアーティストにも当てはまります。

「アーティストとパトロン」

それは昔から芸術を支える環境でした。でも、いまパトロンと言われる人が少なくなっています。

「アーティストと市民」

これからの芸術は市民が支える。そんな環境づくりのために「Kobe Mural Art Project」を立ち上げられました。
ミューラルアートとは壁に描かれたアート。誰もが目につき、誰もがわかりやすい。そんな敷居の低さを持ったミューラルアートプロジェクトの最初の場として選んだのが解体前の神戸市庁舎でした。行政施設の壁に絵を描くなんてとんでもない発想ですね。

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(2)支援と価値の可視化
その活動費用を生み出すために今回はクラウドファンドを立ち上げられました。最初の目標は250万円に設定していましたが、本当の目標は500万円。このクラウドファンドという仕組みと500万円という金額にとても意味があるそうです。
このプロジェクトの目標は市民一人一人がアートにお金を払える環境づくりでした。市民が少しずつお金を出してプロジェクトを応援するクラウドファンドはこの環境づくりのツールとしてピッタリです。そして、目標金額の設定を500万円としました。アーティストがアートで生活をしていける環境づくりがもう一つの目標でした。だから、安くてはダメです。アートに対しちゃんとした価値で費用を支払う。第一弾のクラファンはその費用の【ものさし】となるプロジェクトなので、これから続くミューラルアートに対し、「このくらいのお金は要るよ」とみんなに知ってもらうために500万円という目標金額を設定しました。
そんな思いを持ったクラウドファンドは2020年の3月31日に5,669,000円を集めて終了しました。「芸術を支える市民」の環境づくりは始まったばかりです。

5.環境ドリブン

(1)地球を救え!
多彩な活動を続ける秋田さんの源流は少年時代にありました。中学生の頃は体がそれほど丈夫では無かった秋田少年が欠かさず読んでいた本があります。それが科学雑誌「ニュートン」でした。そのニュートンに「このままでは地球が危ない」という記事があったそうです。多感な時期に読んだ記事に触発を受け、その後、別の号に掲載されていた「水素循環社会が未来をつくる」という記事に希望を持ち、秋田さんの人生が回り始めました。

(2)想いを実現する環境
大阪大学環境工学に進学後、就職する考える時期が来ました。当時、環境コンサルタントはビジネスとして成立するには至っていない状況でした。そこで、環境の分野に携われそうな先進的な自治体に就職しようと思い、神戸市を選ばれたそうです。
神戸市は世界で初となる水素で電力供給しているまちです。
秋田さんが携わったプロジェクトには秋田さんの環境に対する想いが形となっています。
・三宮再開発は公共交通にシフトして環境にやさしい社会を作るため。
・NPOの活動は障がい者も社会参加できる持続可能な社会を作るため
・アートを市民に広める活動は経済だけではない価値を社会に広めるため
環境を軸とした活動を神戸でやりたい秋田さんには「神戸が環境モデル都市にならないといけない」「神戸が発信力を持たないといけない」という想いがあります。

(3)最強公務員

「公務員とは最強のツール」

と秋田さんはおっしゃいます。
ほとんどの方は人の役に立ちたいという思いで行政に入庁されているはずです。でも、やりたい事が見つからず、いわゆる「公務員化」する人が数多くいらっしゃいます。でも、秋田さんは「ツールをして公務員を使うとまちのどこにでも行ける」「公務員なら360°どんな分野でも関わることが出来る」とおっしゃいます。自分が描く未来を実現するため、秋田さんは「公務員」を存分に使ってらっしゃいました。

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6.感想

秋田さんのお話は本当にすごかったです。面白い公務員さんって、組織に捕らわれず自在に動ける人なのかと思います。組織が長く続いたり、大きくなると組織を維持するために前例主義や定型化が広がります。でも、人の気持ちは千差万別、そして時代に応じて変わってきます。その機微に臨機応変に対応するには既存のルールに縛られない動きが必要になります。いや、秋田さんに言わせれば「既存のルールをすり抜ける動き」かもしれません。
そんな人には必ず『想い』をもってらっしゃいます。秋田さんにとっては『環境』でした。すべての活動は『環境』につながっている。だから、ブレずに前に進んでいけるのだと思います。

「秋田さんは孫悟空」

秋田さんのお話を聞きながら僕はドラゴンボールの孫悟空を思い浮かべました。孫悟空の技で元気玉というものがあります。世界の動物や植物の元気を少しずつ集めて巨大なパワーの塊となる元気玉を作ります。その元気玉をベジータやフリーザといった敵にぶつけるというもの。なんか似ていません?みんなの声や気持ち、お金を少しずつ集めて、未来を阻む既存の考え方や制度、施設にぶつけていく。そして未来を作っていく。そんな光景が僕にはダブって見えます。
そして、孫悟空は強い敵に出会うほど必ず嬉しそうにします。秋田さんも楽しそうに活動されています。環境という大きな未来に向かって、課題を見つけるたびに秋田さんは多分こうつぶやくでしょうね。

「オラ、わくわくすっぞ」

秋田さんのワクワクに僕たちもワクワクしたいと思ったMANABIYAでした。(藤輪 友宏)

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