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「なぜ男女の賃金に格差があるのか」を読み「ちひろ美術館・東京」へ行きました


著者はハーバード大学教授のクラウディア・ゴールディン、2023年のノーベル経済学賞受賞者です、そして、この本は日本経済新聞社による2023年の『エコノミストが選ぶ経済図書ベスト10』第2位。

内容は、アメリカにおいて、過去100年間の企業や国勢調査のデータを元に、女性の働き方と賃金がどのように変化していったのか明らかにするという内容。

まず、生年により5つのグループに分けて、
第1世代は1878〜1897年(ほぼ明治)、
第2世代は1898〜1923年(ほぼ大正)、
第3世代は1924〜1943年(昭和前半)、
第4世代は1944〜1957年(昭和中盤)、
第5世代は1958〜1978年(昭和後半)生まれ。

大卒女性が就職した約500の職種で男女の賃金格差を算出し、さらに、時代背景の影響や結婚、出産でどういう変化が生じたか調べています。

第1世代(ほぼ明治)は「家庭かキャリアか」選択せざるを得ない、雇用と家庭の両立が不可能な時代、家父長制で女性の就労にも制約があったりします。

第2世代(ほぼ大正)は「仕事のあとに家庭」、ある程度雇用されて結婚を機に家庭へ移ります。結婚した女性は職場にいられないという規則「マリッジ・バー」にも悩まされたそうです。

第3世代(昭和前半)は「家庭のあとに仕事」、マリッジ・バーのような雇用障壁が取り除かれたものの、出産や子育てで一時的に離職する人も多く、社会の混乱で離婚率も急上昇した激動の時代。

第4世代(昭和中盤)は「キャリアのあとに家庭」、制度の後押しもありアイデンティティとか、やり甲斐といった情熱的な関心事に身を投じることができて、多くの人がひとたびキャリアを確立させてしまえば出産や子育てで脱線してしまうことはないと考えた時代ですが、現実はキャリアを確立させるというハードルが高く、結婚も出産も先延ばしとなります。

第5世代(昭和後半)は「キャリアも家庭も」、サポートを活用し、キャリアの実現や結婚も出産も先延ばしせず可能な限り実現してゆく、現在進行形のグループです。

このように、ここ100年間、アメリカにおいて、大卒女性の職場と家庭の関係は大幅に改善されたようです。

それでも、未だに残っている大卒男女の賃金格差は、3分の1は(男性が医師で女性が看護師、などの)男女の職種によるもの、3分の2が(残業ができなかったり急な仕事に対応できない、などの)子を持つ親のペナルティによるものと結論づけています。

2023年12月19日(火)、

東京練馬区しも石神井しゃくじいの「ちひろ美術館」へ行ってきました。

今回で2度目、約35年ぶりの訪問。私の家から直線距離だとそう遠くないのに電車で移動しようとするとぐるっと遠回りになってしまう、そういう位置なので、興味はあるけれどもなかなか行く機会のない美術館です。

しかし、最近、電車とレンタサイクルの組み合わせで移動することを覚えまして、(一度所定の手続きをしてしまえば)自転車へスマホをかざし「開始」ボタンを押すだけで解錠され、自分の自転車を使うような手軽さで快適に移動できます。



ちひろ美術館では、ここ約10年間に活躍した絵本作家30人をセレクトし、原画と絵本を展示していました。


30人の中で第1〜4世代の女性は見当たらず、第5世代(昭和後半)が3人います。

堀川理万子さん(1965- )、

酒井駒子こまこさん(1966- )、

田中清代さん(1972- )です。


そして、
いわさきちひろ(1918-1974)は、第2世代(大正時代)の人、

絵の具がにじみ、たれて、余白が多くて、未完成みたいな、描ききらないバランスも良くて、展示室を何周か回って繰り返し見ていました。

ちひろ美術館には無かった第1・3・4世代の人気絵本作家も探してみたところ。

林明子さん (1945- )は 第4世代、

せなけいこさん (1932- )は 第3世代、


最後に、
第1世代の絵本作家は見あたらなくて、
片岡珠子たまこ(1905-2008)が
明治生まれの第1世代に近い第2世代、

「落選の神様」と称されるくらい認められない時期があっても描き続けた、

「家庭かキャリアか」
選択せざるを得ない時代の人でした。


読んでいただき、ありがとうございます。


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