わたしの恋文 ✦十三話✦
❥❥❥私の恋文を公開します。
❥誰もが恋をする。❥誰かは直接告白する。 ❥一握りの誰かは恋文を綴る。❥昔の恋を想い出して恋文を綴ってみませんか。❥あの時、渡せなかった大切な気持を。
■許されない愛■
私は、同時に二人の女性を好きになった。心の中の葛藤と、罪の意識。そして、楽観的思考。頭の中で、自問自答を繰り返す。答えの得られない思考は、より自分を責めてしまった。 「心に問う」: 少し冷静な自分を引き出し、心の中で内観してみる。しかし、得られた答えは、「どちらも愛している。」自分に起きるすべての出逢いや別れは、「偶然ではなく、必然」。この世に、生を得たことの宿命。「人を愛する」ということは、美しいこと。しかし、二人の女性を愛することは、許されない愛。結局、どちらの女性も愛することが出来ない。どちらかを愛するということは、どちらかを、愛さないということ。そんな選択肢は、私には無かった。どちらもか、どちらでもない。しかなかった。 結局、恋文にも綴ることが出来なかった。 とても切ない恋心を抱いた、あの頃が懐かしい。
「大人は、ずるい。」 「ずるい大人は、二人と体の関係を持って、その愛の選択を曖昧にする。」 子供ながらに、そう思った。 私は、一人の女性をとことん愛する大人になることを誓った、あの頃のことを想い出す。今日は、時折、激しい雨が降る。秋雨に打たれる中庭の、一輪だけ咲いたミニ薔薇の花がなんだか可愛そうに見えてきた。 ■二人とも愛することは許されない愛■
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