9番の望み
9番、それは、1979年当時、8カ国あった核保有国に加わった、9番目の核保有国、いや、個人の呼称である。
こんな一文を読めばわかる人もいるだろうが、最近Netflixで配信された「太陽を盗んだ男」を観た。
大学時代に一度か二度ほど観たことがあるのだが、久しぶりに観て、やっぱ面白いなぁと感じた。
東海村原発からプルトニウムを盗んで原爆を作り、9番を名乗って日本政府を脅迫する、沢田研二演じる中学教師を、かつて一緒にバスジャック事件を解決した、菅原文太演じる刑事が追っていく物語だが、教師の方は特段したいことはなく、とりあえず野球のナイターを伸ばしたり、ラジオで募集したりと、あからさまな悪役感がないところがいい。
当時の沢田研二氏、けっこうイケメンだしね。
実際に原爆を作っているシーンの画はきまってるし、ゲリラで撮影したカーアクションは今観ても迫力満点、ヘリから落ちても何発撃たれてもなかなか死なない菅原文太氏は爆笑必須…
どのように語ろうとしても、魅力の全てを伝えることが難しい作品である。
この映画は、とにかく何も言わずに観て欲しい作品である。
特に望みを持たないまま原爆を作り、日本を好き勝手に操ったのはいいものの、ついに足が付き、被曝して日に日に弱っていく中学教師、9番の最後を、この目で確かめてもらいたい。
これを観ずして、日本映画は語れない。
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