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立体ハザードマップパズル製作

少し前に、立体ハザードマップパズルを作ってみました。ハザードマップはご存知の方も多いと思いますが、日本全国の自治体から配られている、その地域の災害危険度を示した地図です。「三鷹市 ハザードマップ」のように地名とハザードマップで検索すると見つけられると思います。「防災マップ」と呼んでいる地域もあるかもしれません。災害にもいろいろありますので、土砂災害のマップや浸水のマップなど、災害の種類によって別に作られているかもしれません。

浸水ハザードマップの場合は、大雨が降った場合などにどの場所がどの程度浸水するリスクがあるかを色分けしています。多くの場合は川の近くなどが塗られているのですが、中には「なぜここが塗られているのだろう?」と思うようなところが塗られていることがあります。そういうところは周囲よりも低い窪地になっているのでしょうか?平面的な地図だとそこがわかりにくいので、立体的な地図を作ったら分かりやすくなるのでは?と思いました。

高校の文化祭などに行くと、地学部の展示で「富士山の立体模型」などを見かけることがあり、ダンボールを地図の等高線に沿って切って積み重ねて作られていました。それを真似て、でも手で切るのは面倒なのでレーザー加工機で作れないかと思い、やってみました。

手順1 地形のデジタルデータを手に入れる

世の中には私以外にも地形の立体模型を作りたい人は(もちろん)いらっしゃいまして、3Dプリンタの例が紹介されているのを見つけました。

この例に倣って、国土地理院のWEBサイト「地理院地図」に行くと、自分の好きな地域の地形の3Dデータをダウンロードできます。ありがたい時代になったものです。

私の場合は、三鷹市全体 2048x2048px, 高さ方向の倍率最大で3Dデータを作成しました。三鷹市は南端の国分寺崖線の付近以外は比較的平坦なので、高さ方向を強調しないと高低差が見えにくいです。3DはSTLファイルでダウンロードしました。テクスチャはハザードマップを貼るので不要なのですが、ハザードマップとの位置合わせに使うために市境が分かる白地図のPNGファイルをダウンロードしました。

3Dプリンタの場合はこれを食わせれば良いのですが、私がやりたいのはレーザー加工機で薄板を積み重ねるように作りたいので、このデータを投稿線で輪切りにする必要があります。これも世の中には便利なツールを作ってくれる人がいるもので、感謝感謝。

この記事で紹介されている「Autodesk Slicer」を使うと、まさにやりたいことができます。ここで実際に切り出すときの板のサイズや厚さを考慮して切り出すデータのサイズを設定します。

ちょっと見づらいかもしれませんが、このような平面データが6層分くらい取れました。

これをお絵かきソフト(私の場合は Adobe Illustrator)に読み込み、少し編集します。例えば切り出されたデータは正方形なので、材料の短辺方向は少し削ります。それから、私が使用したレーザー加工機は赤線が切り抜き、黒線が彫刻というルールなので、そのように色を変換します(上図は変換後です)。それから、あまりに小さい図形は意味がない上にレーザー加工の時間を食うので削ります。そして、後述のようにこれをパズルとして使いたいので、全体を3x2の6分割しました。

これをレーザー加工機に入力してMDF材を切ると、立体的な地形の部品ができあがりです。

さらに、ハザードマップを自治体サイトからダウンロードして、同じ位置に来るように編集し、これもMDFを切ったのと同じデータでレーザー切断します。

そして切断した地図をMDF材の部品に貼り付ければできあがりです。

…とあっさり書きましたが、一番時間がかかったのは地図を糊で貼り付ける作業でした。細かすぎる!

さて、できあがって眺めてみると、おぉ、たしかに薄赤色に塗られているところは周囲より相対的に少し低いところになっています!国分寺崖線だけでなく左上から右下に向かって幾本もの筋があるのが分かり、右下の方に行くとそれが仙川だったり神田川だったりするのですが、その上流の方は埋設されてしまったのか染み込んでしまったのか、地表に出ていないところも多いようですが、こうして模型にすると高低差が見えてきます。

これは地域の防災教育にも使えそうということで、自治体の方などにお見せしたりし始めています。小学校高学年の防災授業の教材などにも活用いただけるとうれしいなと思っています。

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