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加湿器事情

 昔加湿といえば、囲炉裏とかストーブにかけたヤカンと相場は決まっていて、しかし危険この上ないのも事実だった。ひっくり返せば熱湯が噴き出してくるわけだ。
 現在、加湿器が一般化しているので、ストーブ・ヤカンの組み合わせは死語だろうけれども、加湿器が発売された当時、画期的だったのが超音波によるもので、水が熱くならないという商品だった。
 当然熱湯にならないわけだから危険度が低い。そこで多くの人が喜んで購入した。
 現在では超音波性の暑くならない加湿器の方が主流で、加湿器の湯気が冷たいことが常識になっている。
 

 カビの温床

 ご存じの方も多いと思うが、加湿器が使われる時期に入ると、加湿器による肺炎が増えるそうだ。原因は加湿器内に発生するカビが、水蒸気とともに部屋中に蔓延し、それを吸い込むことで肺炎が起こるわけだ。
 驚く人もいると思うが、加湿器を実際に使っていると、絶対こうなるという確信がわいてくる。
 加湿器を使い始めてから1週間ほどで、なんとなく据えたにおいが部屋に漂っていることに気がついた。腐った生ものを疑ったが、そんなものはなく、生ゴミの処理もしてみて、それでも臭っている。あちらこちら探し歩いて、行き着いたのが加湿器だった。
 内部には水を入れるタンクがあるが、臭いはそこから出ているのがわかった。
 その加湿器は小型のものだったから、新しい水を入れても、においは1週間以内に起きて、使っている内に数日で臭ってくることがわかった。
 結局毎日タンクの掃除をして使ったが、水道水を使うので、カルキの汚れもあるし、毎日の掃除は結構手間だった。
 1年もたたないうちに、大型の加湿器を使い始めた。
 空気清浄機とセットになっているもので、目的は花粉症時期の空気清浄機だったが、冬は加湿も同時に行った。
 内部に大きなタンクと、水車と呼ばれる水を吸い上げて回転する樹脂製の素材をはめ込んだ円盤があった。
 タンクから底部の皿状のところに水が送られ、円盤は回りながらそこの水を吸い上げていく。
 大型の装置だったが、やはり1週間が限度。そこでタンクと、水をためる皿を洗った。毎週この洗浄が日課となり、ついでに円盤の洗浄も加わった。
 中にある樹脂製の薄いスポンジは、汚れを取り、軽く洗うが、だんだんカルキで堅くなってくる。そこで説明書通りクエン酸に漬けて洗ったが、カルキの塊はとれなかった。
 これも説明書通りに使い、ちょうど2年目くらいで円盤のスポンジを全部交換することにして、買った量販店に注文した。
 商品が届いたとき、店員に「この水車のスポンジを注文される方ほとんどいないんです」と言われた。そこまでまめに掃除して使っている客がいないのだそうだ。
 そのとき店員から、新商品があると紹介されたのが、熱湯をわかすタイプの加湿器だった。

結局湯沸かし器

 今では割とポピュラーになった商品だが、水を入れて沸騰するまで暖め、その蒸気を部屋に吐き出すという商品が、新しく販売されている時期だった。仕組みは電気の湯沸かしポットと全く同じ。ただお湯を出す装置はなく、蒸気が天板から外に出てくるようになっている。
 もちろんひっくり返すと熱湯が出てくる可能性はあるが、一応倒れたぐらいでは、お湯が出てこないように安全装置はあるようだ(いっぱい熱湯がたまったところで倒して、全くお湯が出てこない保証はしないけど)
 この方式の加湿器は、カビは生えない。生えようがないからだ。
 唯一使っていくと内部にカルキがたまってくるので、これも電気ポットと同じくクエン酸を使って掃除するといい。カルキの掃除だけを気をつければ、特に不快な臭いもない。

 結局この加湿器をずっと使っている。
 蒸発して水がなくなるとまた水を入れて、スイッチを入れる。この繰り返しだけだ。毎日の掃除はまずない。シーズンの始まりと終わりに中の掃除をしてからカルキおとしをするだけだ。

 カビの温床にならないということで、以来この湯沸かし加湿器を強く推奨したいと思っている。



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