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映画『僕の帰る場所』制作日誌②

2018年劇場公開時に、公式Faceookページに投稿した記記事を再掲しています。


🎊10/6ポレポレ東中野公開まで後3日!!🎊
\5年間を振り返り 監督制作日誌パート③/


2014年11月。秋風が心地良い空気の中、遂に日本編の3週間の撮影が開始!!役者の演技ワークショップを事前に1ヶ月もたっぷりかけて、準備は万端!

でも正直、長編映画撮ったことないし、プロの技術部さん使った事ないし(前作は学生時代の卒業制作の短編映画)、

「そういえば映画って、どうやって撮るんだっけ?」

と、撮影初日の現場に向かう電車の中で、内心ビビってたのを今でも覚えています。

しかし、そこは百戦錬磨のプロのスタッフ達。監督の緊張具合を察してか皆優しくて、和やかな空気で撮影初日を終えました。(そう思ってるのは監督だけかもしれない)


この映画の撮影現場には、普通の現場にはない幾つかのルールが存在していました。子どもが登場するシーン、もしくは感情が高ぶった演技が必要なシーンではなるべくリアルに撮れるように、または役者が演じやすいように、

1. 監督、カメラマン、録音以外は撮影現場に入れない等、必要最低限の人数で撮影を行う。
2. 本番の始まりと終わりを告げる声は出さない。
3. 演技練習のテストはなしで、一回目の本番でNGを出したらそのシーンは無くなる。
4. 本番が終わる合図があるまでは、1時間、2時間連続でやっていようがカメラは止めない。

他にもルールはありましたが、興味のある人は映画館上映時のQand Aにでも。

スタッフ大勢からすると、どんな映像が撮れているのか分からない。しかも本番が始まって寒い外で1時間も2時間も待たされる。

皆のフラストレーションは段々と溜まっていきます。そしていつ本番が終わるか分からないので、タイムスケジュール通りに進行しない。

映画を統括する渡邉プロデューサーが、切り干し大根みたいな顔で、不安そうに遠くから現場をみつめていました。

しかし、撮れてる画は抜群に凄い。役者達のあまりにもリアルな息遣いに、確かな手応えを感じていました。運の良い事にNGが出て、本編から無くなったシーンは幸いにも2シーンくらいしか発生しませんでした。


よく映画祭上映で「このすごい演技はどうやって引き出しんですか?」と聞かれます。それは僕の能力とは全く関係なく、ひたすらスタッフの皆が信じて、我慢して待ってくれていたから。本当にそれに尽きます。

「監督!大体このシーンは何時頃におわりますか?」
「分かりません。」

「監督!このシーンはどこからどこまでの範囲でカメラが映りますか?」
「知りません。」

・・・普通ならクビです。

スタッフ役者の方々の映画を信じきる努力で現場を作ってくれたので、この映画の持ち味である、"圧倒的にリアルな俳優の演技"が引き出されたのです。


つづく、、、
次回はミャンマー撮影編です!

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