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町工場の夫は准教授④~「政治」との向き合い方について

「町工場の娘」や「町工場の嫁」という感じで、町工場の経営に女性が参画し、様々な変化を起こしたというお話が話題になったことがあります。私の妻も町工場の経営者です。そうすると、私は「町工場の夫」ですね。今回は、「政治との向き合い方」というものについて雑感を。

総裁選の報道

巷では、自民党の総裁選に関する報道が盛んに報じられています。かくいう我が家のテレビでも、同じく総裁選に関わる報道が流れています。そうすると、町工場の夫と町工場の娘の政治との向き合い方は、ずいぶんと違うなぁと感じてばかりです。

今回は、政治について見解を述べるとか、どの政党が良い悪いという内容ではなく、あくまでも政治との向き合い方の違いについての雑感です。

政治に関する報道に向ける視点の違い

妻の場合、「感性」です。基本的に政治の仕組み、社会の仕組みについては、関心が低いことと納期に追われているため、政治の仕組みや社会の仕組みについてまでは、考える時間がないということからかもしれません。そして、自分の感情で良し悪しを考えているようです。

したがって、各候補者などの論戦については、仕組みや理屈が分からない状態で聞いているので、「現実こうじゃん」と「好き嫌い」というところで落ち着きます。

一方で、私は「理論」となります。職業柄、理論から入っていき、結果として世論はどうなるだろう?という思考。政治の仕組みや社会の仕組みについては、専門外であっても基本的なことは分かっているので、あとはどこまで詳細に詰めて考える?という感じ。そして、「将来的に全体がどうなる?ここがどうなる?」というところで落ち着きます。

個々の視点と全体的な視点

妻の場合は、自社中心・製造業界のみの視点です。国レベル、世界レベルでの視野はありません。自分の世界観がどうしても自社中心になってしまう。製造業ベースで物事を考えます(なにかと「製造業では・・で言い訳する」)。

私の場合、実務では様々な業種の方々とお話をさせていただくので、自分の世界観に加えて、色々な業界の世界観が加わっているという感じです。基本は法律業界ベースとはなってしまうのですが(法律はすべての業種に関係するよねという発想)。

そうすると、二人の違いは、個々の会社の範囲で将来を考えるか、国レベル、地域レベルから個々の会社への影響を考えるかというものです。矢印の向きが真逆といっていいかもしれません。

政治家嫌い

そうすると、テレビで報道を見ていても、まったく話がかみ合わないですし、無関心な分野ですから、「政治家嫌い」でおしまいです。

ここで、私が思うのは政治に対する無関心が、企業経営者も無関心であっていいのか?ということ。

「政治や行政は大手企業の言いなり」「大手に有利な政策だ」的なことを中小企業の経営者から聞こえたりするのですが、いやいやいやいや・・・99.7%を占める中小企業で、数では圧倒的なのに、この発言がでてくるのはどうして?というように思うのです。

妻だけではなく、「政策なんて難しいことはいいからさ」「政治家なんて、俺嫌いだから」「中小企業の経営者なんて馬鹿なんだから」とかいう経営者は多いようにも思えます。若者だけではなく、中小企業経営者も政治に無関心ということです。

「数を世の中を良くする力に変えられていないということではないか?」と思ってしまいます。

経営者が政治に対して考えるということ

ここからは、我が家から離れたお話です。

とある会の青年部の副部会長というお役目をいただいていたときのお話です。

当時のトップ(部会長)は後継社長で与党派、一方で私はサラリーマン家庭で野党派です(家系が労働組合系ということもあって)。したがって、真っ向から対立して、組織のトップとナンバー2が対立する状態となるのでは?と思いきや、そうはならなかったのです。

元々どちらも社会の仕組み、政治の仕組みについて理解し、自社のことだけではなく、地域レベル、国レベルという視点での話ができていたからではないか?ということ。

これは、「問題意識は共通」しかし「解決方法を考えるときの立ち位置が違う(経営者目線か労働者目線かという感じでしょうか)」ということの違いでしかないのです。そして「問題意識」と「その解決」という点は同じなので、「どうしたらいいか?」という議論になってくるのです。そして、意外と「どうしたらいいか?」ということも同じ方向性だったりもします。

政治との向き合い方

こうして振り返ってみると、単に「知らない」ということが、その時々の個々の好き嫌いで判断をして、数を力に変えられていないのではないか?ということ。そして、避けて通るのではなく、政治的な見解、立場が違っても実は共通点はあり、話すことで先を見いだせるのではないかということです。

一方が社会の仕組み、政治の仕組みから考え、国レベルで考えということに対し、自社だけの視点で考えるという話では、何も交わらないのではないかと思うのです。

我が家の話から、少し規模が大きくなってしまいましたが・・・政治に無関心であるということがどうなってしまうのか?は、すでに体験していることではないでしょうか。

ただ、考える時間ができないという現状があるのが、一番の問題かもしれません。


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