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2000字小説たち

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2000文字ぴったりで書いた小説たち置き場
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#掌編小説

【小説】 ラテ

庭にときどき猫がくる。 餌を与えたりはしないし、名前をつけたりもしない。 ただそこにいるだ…

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小説:絶つ鳥【2000字ジャスト】

階段を一段上るごとに、テキーラの匂いは強くなった。 できることなら胃の中のものをすべて吐…

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【小説】なし太【2000字ジャスト】

なし太は自分の名前が嫌いだった。 漢字で書けば果物の梨なのだけれど、瑞々しく生命力のある…

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【小説】花【2000字ジャスト】

時すでに私は発狂していた。 私はそう思うのだけれど、それは誰が決めるのだろう。 周囲が決め…

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小説:クロムレイン 【2000字ジャスト】

夏が始まろうとしていたけれど、私はすでに夏の終わりのことを考えていた。 なぜなのかはわか…

【小説】猫のけつの話【2000字ジャスト】

僕がいつものように縁側で天井の木目を数えていると、網戸の向こうから猫の鳴く声がした。 い…

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【小説】私が夏になる【2000字ジャスト】

耳を塞ごうかと思ったけれど、よく考えてみればとくになにかの音がするわけではなかった。 止まらない汗、ファンデーションの滝、水分は補給したかな、えっいま私臭くないよね、帰りたい、気温何度だよ、隠す気のない丸出しの太陽、日焼けしたくない、帰ってシャワー浴びたい、ビール冷やしてたかな、帰りたい、はやく帰ってシャワー浴びて半裸でビール飲みたい、営業所に戻って伝票整理してるうちになんとなく涼しくなってしまいたくない、このイライラを保ったままアパートに帰って一気に発散させたい、帰りたい。

小説:NOISY VOID 【2000字ジャスト】

父の牧場が嫌いだった。 私の小学生時代のあだ名は牛乳屋だった。 それについて、父が飼育して…

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