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笑い事

(地域情報誌フジマニ 2020年4月号 vol.150 掲載の編集長コラムから転載+noteのみの追記)

The Comedy king

第二次世界大戦中、塹壕の中である記者が兵士にインタビューした。

記者 「いまアメリカからいちばん送って欲しいものは何?」兵士「…なあ記者さん、ちょっと言っておきたいことがある。ここはもう、笑い事じゃなく大変なんだと。ホットドッグやらベイクトビーンズやらがなつかしいなんて言ってられないんだとぐらいは伝えてくれ。毎分毎分、兵隊が死んだり負傷していくんだ。惨めで、苦しくて、痛いんだと伝えてくれ。そちらでは絶対わからないくらい、笑い事じゃないんだと伝えてくれ…死ぬほど辛いって、すごく辛いって、伝えてくれ。笑い事じゃない辛さだって。それだけ。それだけだ」(ポール・ファッセル『だれにも書けなかった戦争の現実』)

いま、そういうことが世界の医療現場で起きている。
イギリスでは何の持病もない健康な21歳の女性が死んだ。フランスでは16歳の少女が軽い咳が出はじめて、その1週間後には死んでしまった。ここから僕らは、本当に慎重にならないといけない。花見をしたいとか、飲みに行きたいとか、遠くから友達が来るからとか、そういうことを言っている場合じゃないのかもしれない。収束し、経済が持ち直した時に、隣で喜びを分かち合うはずの家族が、そのときにはいない。そういうことが、すぐそこに近づいてるのかもしれない。

とにかく正しい知識を持って、科学を、隣人を、政府を、未来を信じよう。自分の持ち場で、自分にしかできない方法で、この世をちょっとだけでもいいから良くする方法を考えよう。

ドリフターズよりも、カトちゃんケンちゃんとバカ殿様で育った自分には「だいじょぶだぁー」って、もうあの人が言ってくれない現実はあまりにも辛すぎるけれど、せめてこの喪失の先に、この世界線にしかない希望があってほしい。そう切に思う。

***

追記:
正しい知識を持って、科学を、隣人を、政府を、未来を信じよう。信じられなければ、100%アクセルを踏み込めない。これまでの人生で一番の力を、いまここで発揮しよう。むしろ、いま、このタイミングで発揮しないでどうする? 今日の出来事を、「あのときは大変だったね」って話せる、3年後の思い出話にするために。
(2020/04/07 19:30 安倍晋三首相の会見を見ながら)

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