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冬の福島旅行 4日目(22/12/29)

仕事で手が離せなかったりモチベが撃滅したり、二の次三の次にされているうちに何だかんだ2ヶ月が経ってしまいました。自分用旅日記の続きです。もう雪の写真を眺めていても寒さが伝わってきませんね……
(下の記事の続きです)

猪苗代盆地の寺社を歩く

先夜に引き続いて、某君とふたり郡山を後にする。磐越西線の快速に揺られ西へ向かうと、磐梯熱海を過ぎたあたりから徐々に雪が現れはじめ、中山峠を越えると車窓は完全な銀世界になった。
先夜から目をつけていた猪苗代駅で下車し、余計な荷物をコインロッカーに預けてバスに乗り、猪苗代湖畔にある野口英世記念館で下車する。といっても、野口英世など別に特別関心がある訳でもないので、記念館に背を向けて国道を渡り、地図を頼りに寺を目指した

雪に包まれた長照寺

大宮山長照寺。参道を一目見て息を呑んでしまった。野口家の菩提寺だったらしいが、そんなことはどうでも良い。これだ、これだよ……私が会津に求めていた風景である
雪に包まれた寺社というものは、東京に住んでいるとそうそう見られたものではない。長照寺、そして近くにある八幡神社。足跡ひとつない参道を同行者と二人で歩きながら、一眼レフのシャッターを切っていく。

八幡神社。社叢の中は雪が薄い

雪国をナメて死にかける

雪にハマって遊びながら、地図に沿って北上しようとするが、雪国はそう甘くはない。全ての道が除雪されている訳ではないため、地図に書かれた道路の大半が膝丈を超える雪に埋もれ消滅しているのである。

銀世界と化した公園。同行者が突っ込んで遊んでいた

田圃を突っ切って行こうとしたところ道が消えていたので、強行突破を試みたところ道路端の用水路を踏み抜く、という冷や汗ものの体験をした。どうやら小さい側溝だったようで事なきを得たが、一歩間違えれば本当に遭難していたかもしれない。帰宅後に同じ場所をストリートビューで見てみると、何の変哲もない美しい田園風景が広がっており愕然とした。

デリニエータがあるので行けると思ったが、冷静に考えれば絶対に踏み込むべきではない

その他にも、道沿いに進んでいったら大きな水路が越すに越せなくなったり、突っ切ろうとしてやめた場所にそもそも道自体存在していなかったりと、雪国の恐ろしさを実感した次第である。 

観音堂・神社・行屋

さて、気を取り直して、次の集落は新在家(しんざいけ)。ここから「猪苗代三十三観音」の観音堂が現れはじめる。年の瀬というのに除雪車がせわしなく行き交っており、土地で暮らす人の苦労が偲ばれた。考えてみれば、冬の間は常にどこかで除雪を続けなければ町全体が孤立してしまうわけで、それを障壁とみるか貴重な雇用とみるかはともかく、雪国というのは恐ろしいものである。

新在家の家並み。夏には全く違った姿を見せるだろう

庚申塔のある四つ辻を過ぎ、しばらく歩くと目の前に鳥居が現れた。道路が鈍角の三角形を作っており、奥には出雲神社の社叢、そして中央を貫くように参道が走っているらしい。私の拙い語彙力ではろくに美しさを伝えられないだろうが、実際に行ってみると文字通り息を呑むような美しさである。

出雲神社。TLでもそうそう見ない美しい田んぼ島

ただ、吹雪に冷えた手がこの辺りで悲鳴を上げ始めたので、やむを得ず近くにあった高い蕎麦屋に駆けこんで昼食をとることにした。それなりに美味しかった記憶がある。

(この手の農山村で食事をしようとすると相当の高確率で蕎麦が絡んでくるのも、田舎の良くないところの一つのような気がしてきている……最近まで殆ど意識してこなかったけど結構辛いところよなぁ……)

さて、その後しばらく歩いて、釜井というところで行屋を目にした。行屋の何たるやについては過去の私が説明しているが、釜井の行屋は最近再建されたと思われるピカピカの建物で、地域の信仰が生き続けていることを実感させられた。

雪の舞う中を歩き続け、磐越西線の線路を超えて、次に現れたのは大字磐里・字島田の地蔵堂。季節風の逆向きとなる建物の南東に勝手口がついていて、中に入れるようになっていた。古びた建物であったが、平成24年には「長寿会」なる講が御詠歌を奉納しており、こちらも今に続く信仰の拠点になっているようだ。

島田の地蔵堂。さらっと書いたが関東なら即刻尊死レベルの良いお堂である。

その後は猪苗代駅に戻り、快速に乗って会津若松へ。時刻にして15時頃には若松に着いたが、雪中行軍で体力を使い果たしていたこともあり、その後の成果は芳しくなかった。栄螺堂くらいは行こうと思っていたが面倒になってしまい、駅の近くのラーメン屋で一応形だけの喜多方ラーメンを食べて、この日の旅程は終了である。
(ただ、駅前の本屋で買った歴史春秋社の『会津の野仏』という本はよい土産になった。会津の民間信仰について網羅的にまとまっており、入試手伝いの時に鞄に忍ばせておいたら大変重宝した。)


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