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自分でできる!校正 ①校正の極意

校正者の加野 房枝です。
在宅校正者として、官公庁が発行する冊子などの校正を請け負っています。
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昨今、誰もが気軽に文章を書き、デジタル・アナログ問わず発信し、対価を得ることもできるようになりました。手軽である反面、あまりにも言葉を軽んじ、疎かにする風潮が台頭するようにもなってしまいました。それは、世界一難解かつ世界一美しい言語である日本語への冒涜であり、言葉を大切にしてきた筆者は、日々心を痛めています。

私が以前、noteで「校正者になりました」という記事をアップしたところ、当時note初心者だったにもかかわらず、予想以上の反響をいただきました。校正(コウセイ)とは、文字や文章の誤りを正すこと。それだけ、「自分の書く文章に自信がない」「もっとわかりやすい文章を書きたい」「人の心に響くような文章が書きたい!」と望んでいる方が多いということだと思います。

校正に携わる者は「言葉のプロ」「文章のプロ」と呼ばれ、筆者もいち校正者として、決して安い金額でお仕事を請け負っているわけではありません。しかし、すべての書き手の皆さまがプロに校正を依頼できる環境ではないことも、承知しています。

そこで、自分でもできる必要最低限の校正の方法を、このシリーズでお伝えしていけたらと思います。「書き手の意識」と「いくつかの工夫」で、「読みやすく」「読者の信頼を得られる」文章を書くことは可能なのです。

すべての「もの書き」さんの力になり、日本中が美しい日本語で溢れますように、との願いを込めて。


校正は「おもてなし」であり「責任」を伴う「義務」でもある

以前、ネット上で「おもてなしの心があれば国語力なんて二の次」という趣旨の記事を見かけました。確かに、読者のことを思い、持てる知識や経験を存分に詰め込んだ文章は、筆者渾身の「おもてなし」といえるでしょう。

だからといって、言葉が間違っていたり、文法が間違っていてもよいという言い訳にはなりません。なぜなら、言葉や文法の間違いひとつによって、読者に誤解が生じ、選択の間違いが生じ、その後の人生さえ左右される事態にもなりかねないからです。

「左」と「右」の書き間違いに気づかないままだったら、それを読んだすべての人がミスを犯すことになります。
「ない」と「はい」では、文脈によっては真逆の言葉になります。
「お持ちになる」と「お持ちする」では、動作の主が逆転します。

私はよく「車だったら即リコール」と例えますが、そのぐらい、書き手の皆さんには、一文字の重みに責任感を持っていただきたいと、強く思います。

校正不足によるイメージダウンは本人が思っている以上に「イタイ」

文章の正確性と信憑性は、自分自身の信用にも、大いに関わってきます。特に、質の高いお客様を得たいと思うのなら、それは何より大事です。意識の高い人(いわゆる「意識高い系」とは異なります)ほど、「信頼」を何より重要視しているものです。そういった方は、いくらお金を持っていても、信頼も信用もできない相手にはビタ一文払いません。本質を見極める力の高い人ほど、財布のヒモは堅いものです。

毎度毎度、誤字脱字だらけ、文法グチャグチャの文章ばかり公表していると、だんだん読者が離れていきます。バカにされます。ナメられます。読者が顔見知りなら、現実世界でも影響するかもしれません。それは、日々送信・投稿するメールやSNSの文章でも同じことです。

そういった間違いの減らない人は、読者や周囲から
・落ち着きのない人
・雑な人、大雑把な人
・話を聞いていない人
・何を考えているのかわからない人
・向上心のない人(悪いところを改善する気のない人)
・配慮の足りない人
さらには、
・仕事ができない人
・自分勝手な人
・きっと他のことも色々と残念な人
とのレッテルを貼られるようになっていきます。それらが積み重なって、「信用できない人」と位置付けられてしまうのです。

少しでも「心当たりがある…」という方は、今から、正しい言葉遣い、わかりやすい表現、信用できる情報の提供を積み重ねて、汚名返上、名誉挽回につなげましょう。
誤字脱字等のない、正しくわかりやすい文章を書けることは、ひとつのマナーなのです。

では、実際に自分でできる校正方法をご紹介しましょう。


一に読み直し!二に読み直し!!

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