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私の乳ガン物語  3話 【絶望からの脱却】

 ー癌宣告ー
 クリニックの予約は昼12時だったのだが、
早く着きすぎたので近くのファーストフード店で
ハンバーガーのセットとアイスを頼む。

11月だったが、よく晴れた気持ちの良い日だったので、
外のテラスでポカポカ太陽を感じながら食べた。
久しぶりのジャンクフードを食べながら、
これから先生になんて言われるんだろうなー。

もし乳がんって言われたら今日が
宣告記念日になるんだなー。
とか呑気なことを考えていた。

私の中では、

98% 乳ガンじゃない
 2% 乳ガン

くらいの割合で
乳ガンじゃないと過信していた。


 クリニックに着くと
私が午前の診察の最後の枠だったので、
5分ほど待っている間に待合室から誰もいなくなった。
部屋に通され、三週間ぶりに会う先生と挨拶を交わし
向き合っている椅子に座ると、先生が話し出した。

 「落ち着いて聞いてください。」

この言葉を聞いた瞬間、
98%乳ガン、残り2%乳ガンじゃないに変わった。


 「針生検の組織を調べた結果、悪性であり、
  若年性乳ガンと診断されました。」


 まじか。。。ウソでしょ。。。


と思いながら先生の説明を聞く。


私の癌は、
 
『非浸潤性乳ガン』

とゆう種類のものだった。
乳ガンは乳腺から浸潤し、しこりになる。
しこりを気付かず放っておくとリンパに転移したり、
体の中を流れ他の場所に転移していくことになる。

浸潤し、はじめてしこりになったものが
ステージ1だとしたら、
非浸潤性乳ガンはステージ0だと説明された。

癌細胞が浸潤していると、
抗がん剤治療をすることになるのだが、
早期の浸潤していない癌は、取り除いてしまえば
抗がん剤治療がほとんどのケースで必要ないという。
私のガンは非浸潤だったため、
どうりで触ってもしこりはないし、
エコーやマンモグラフィに炎症のように写っていたのか。
と納得した。

先生の話を、取り乱すこともなく、
泣くこともなく冷静に聞いていた。

私ってこういう時
意外と冷静に聞くタイプなんだ。
って自分でも驚いた。

自分の話なのに、自分のことじゃないような、
なんとなく第三者の身に起きた話を
聞いているような感覚だった。

まるで、"闘病"がテーマのドラマの
ワンシーンを演じているような感じで

まさか自分が"ガン"だなんて
信じられなかった。

先生は、
これから私がどのような手術をすることに
なるかを説明してくれた。

非浸潤性乳ガンは、
ステージ0の早期のガンにもかかわらず、
しこりになっていないため、
切除する部分の特定が難しいらしい。

したがって、
広がっている部分だけを取り乳房を残す
部分切除の手術をするなら、
取り残しの無いように病巣の周りを1cm-2cm
多めに取り、放射線治療がセットになる。

もう一つの方法は、
全摘出手術。
胸を全部取り除き、希望するならば同時に
自家組織、またはシリコンインプラントで
再建するとゆうものだった。

全摘出手術はアンジェリーナ・ジョリーが
遺伝子診断により乳ガンの可能性が高い
とゆうことで
予防のために手術したことも教えてくれた。

そして、
自分でもネットで調べるなり、
経験者の話を読むなり、
じっくり手術内容や非浸潤性乳ガンのことを
知ると良いとアドバイスしてくれた。

どちらにせよクリニックではこれから先の
治療はできないため、
もっと大きな病院に行く必要があった。

何も知識のない私は、
先生に勧められた有明がんセンターか、
聖路加国際病院のどちらかにしようと考えた。

運良く、聖路加国際病院の予約が
二週間後にその場で取れたので、
紹介状と組織のデータを受け取りクリニックを後にした。
 
 

さっき食べたファーストフード店を横切り、
桜新町の駅に向かう。

さっき通った道なのに
もう同じ景色ではなかった。
 


 これからどうなっちゃうんだろう。

 ダンスは?

 ダンスはどうなるの!?

 決まっている仕事はどうなるの?

 そもそも何でわたしがガンなの?

 わたしは死んじゃうの?


駅へ向かう途中、
物凄い勢いで浮かんでくる不安で頭がいっぱいになった。


まさか自分にこんな日がくると思っていなかったし、
何から整理するべきなのか分からなかったので

とりあえず、
先生の前で冷静に立ち振る舞った自分を
褒めることにした。


クールに決めてたな、やるやん自分!


どこかで読んだ

「ピンチの時は男より女の方が冷静」

という言葉を思い出して

ありゃ本当だな。

とか、

アンジェリーナジョリーは予防のために
自分の胸を取ったなんてすごい判断だな、、、

とかそんなことを考えながらホームで電車を待っていた。



数分前に頭の中を駆け巡っていた
未来への不安はいつの間にか消えていて
電車に揺られながら


さあ、このピンチどう乗り越えていこっか?


と、不思議とワクワクしていた。



教訓:立ち直りは早い方がいい!

生きていれば不安や挫折は誰にでもあるもの。起こるかわからない不安で頭がいっぱいになっていては時間の無駄です。クヨクヨしていても現実は何も変わりません。気持ちを切り替えて解決策を考える頭にシフトチェンジしていきましょう。





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