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Count 10 of fabness

 「count 10 of fabness」この言葉は、私が19歳の時、当時仲良くしていたイギリス人の友人が、私の日記帳のすみっこに書いてくれた言葉だ(今調べるとそんな単語はなく、多分彼女が作った造語だったようだ) 。とてもネガティブで落ち込んでばかりいた私。そんな私を励まそうと、「今日あったいい事を10個書いてみて」と彼女は言った。10個もいい事なんてないよ。当時の私はそう思っていた。
 
 あれから何十年も経って、今私は寝る前に、今日あったいい事を数えてから寝ている。そうすると不思議と眠りにつける。今日は散々だった。そんな日も数えてみると、何かいい事はある。決して大きな事ではない。宝くじが当たったとか、好きな人に告白されたとか、飛び上がるようないい事ではない。
 
1.      ニャンズ(猫達)が今日も元気で可愛い
2.      パートナーが今日も元気で笑顔でいてくれる
3.      通勤電車で座れた
4.      今読んでいる本が面白い
5.      とてもいい天気で洗濯物が良く乾く
6.      お昼に買ったコンビニスイーツが美味しかった
7.      noteに投稿できた
8.      水回りの掃除ができて気持ちすっきり(運気もアップ)
9.      今はまっているドラマがすごく面白い(続きが楽しみ)
10.    空がきれい

 こんな感じだ。体調をひどく崩し、日常生活もままならなかったことがある。当たり前、日常と思っていた事が、何より尊くありがたい。小さな幸せを見つけるのが上手くなったと思う。
 
 私に「count 10 of fabness」を教えてくれた友人は、当時、父親が刑務所から出所してきたばかりだった。普段の彼女はいつも笑顔でやさしく、みんなの人気者だった。父親の話を聞くまでは、とてもそんな苦労をしているなんてまったく分からなかった。きっと彼女も小さな幸せを数えながら、一生懸命生きていたのだろう。
 
 今もイギリスにいるのかは分からないが、遠い空の下どこかで、彼女が笑顔でいてくれたらと願う。Jen、私も「count 10 of fabness」しながら、あの頃よりは幸せに生きているよ。


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