見出し画像

企業で働いて感じた医療機関との温度差



医療機関で8年間働き、新たに企業で働くことは新鮮だったとともに風土の違いみたいなものを感じるものになった。

医療機関でのミスは患者さんの命に直接関わることになる。誰かが間違えたら速攻でミスを共有して今後同じことが起こらないような仕組みを作ったり何故起きてしまったのか、という調査が迅速に行われた。

私がいた医療機関では、改善したいという声が出たら迅速に上司に意見を拾われ回覧板ノートに記載して読んだらサインする。その時点から改善していく、という流れがあった。(小さな組織でしたので)

また、シフト制なので自分がいなくても誰でもわかるようにしておく義務があった。しかし企業は自分がいなくては仕事が回らないような仕組みで、誰がどんな仕事をしているのかが見えにくく、ひとりが抱え込んでいるように見えた。
(10年以上前の話なので今は違うかもしれない)


私がいた企業ではミスが起きた場合、上司にすぐに報告してまたその上に報告される。そこは医療機関も同じなのだが報告までに時間と書類が必要になる。時間がかかり手間になるからなのか多少のミスはなかったことにされることがあった。なので何度も同じ凡ミスが繰り返される。調査、報告に時間を費やしてしまうので、軽いミスは程度にもよるが身内(社員間)で隠す風土のように感じてしまった。

もちろん、大きなミスは上司に報告され必ず調査が入りレポート提出が必要になり報告される。そこは徹底的に行われる。始末書と謝罪説明ものだ。(私も書いたことがある)

どの企業も同じではないかもしれない。
小さなミスを隠す風土で何度も同じことが起きて根本的に改善されないので毎回手間が掛かったり悩むこともあった。そんな時に医療機関では迅速に改善がされるあの態勢は素晴らしいことだったんだなぁと感じることがあった。

私は、自分に与えられた仕事で、もっとやり方を変えたら効率的なのに。このことをみんなに周知してもらえば改善されるのに。という思いを抱えて仕事をしていることがあった。まだ考えが若かったんだと思う。今思えば、思い上がりだ。

私は派遣社員で、指揮してくれる上司がとても親身になってくれて時々仕事中に外のカフェで面談といって気分転換がてら話を聞いてくれることがあった。

そのときに、

「綾乃さん(私)はいい意味でも悪い意味でも、世間知らずのお嬢さんだからこれから我が社でたくさんのことを吸収していって。」

と言われたことがあった。
あとから思うと、心折れそうな言葉だが確かに企業で働いて今までの常識とはまた別のものがあると感じていた。

企業ではグレーなことがある。白か黒かはっきりさせることを嫌う風土があったような気がする。私の働いた企業に限ることかもしれないが、その企業は日本でも「新卒が就職したい企業ランキング」でランキング上位に入っている会社であった。

グレーなことが悪いことだとは限らない。大きな組織では【調整していく力】というものが必要なのだと思った。グレーというとあまりいいイメージが持たれないかもしれない。調整力と言おう。

私はいち派遣社員なので、立場が違い長年働いてきた社員の方々苦労や努力がまだ見えておらず未熟だったのだと思う。そして考え方がまだ幼稚で世間知らずであった。

今、40代になり様々な職場を経験すると組織内での調整力がいかに必要かわかるような気がする。
組織を変えようとするには膨大な根回しと信頼と実績、そして覚悟が必要なんだと自分だけでなく、変えようとしていた社員をみて思った。


今でも派遣でお世話になった企業のことは大好きだと思う。社員の愛社精神はとても深く真摯な方が多い企業だった。医療機関でしか働いたことのない私に世間の常識を学ばせてもらった。貴重な経験であった。

今、40代になった自分がもう一度あの会社で働くことができたら、どんな世界に見えるのだろうか。少しは成長しているといいのだが...。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?