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【法人営業のすすめ】 センスがなくても成果は出せる。”誰でも売れるようになる”と気づいた話

こんにちは。株式会社mentoで法人営業を統括している、藤本と申します。mentoはコーチングプラットフォームを運営しており、一部上場の大手企業からスタートアップまで、規模や業界問わずミドルマネジメント層の育成支援を行なっている会社です。

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突然ですが、営業において大切なことはなんだと思いますか?

パッと思い浮かぶのは、「コミュニケーション力(コミュ力)」かもしれません。私も昔はそう思っていました。
もともと私はコミュニケーションに苦手意識があり、新卒で入社したキーエンスでは、“全く売れないダメ営業パーソン”から社会人生活をスタートしました。営業ランキングでも同期に負け続ける日々...
ところが、4年後に全国1位の営業成績を収めることができて以降、営業の本質はコミュ力とは全く別のところにあると気づきました。よく言われる「営業センス」や「適性」なども関係ないと思ってます。

(参考:巷にはいろんな全国1位がありますが、半年間で売上・前年伸び・新商品販売数など成果関連の総合スコアで1位になったので、ある程度の結果だとは思っています)

「誰でも、売れる営業になれる」

今は心からそう思って、営業チームのメンバーに伴走しています。

ダメ営業だった私が、なぜ全国1位にまで這い上がることができたのか。売れる営業になるためには何をすればいいのか。今回は、私の「営業にまつわる原体験」と「勝ちパターンの見つけ方」、「売れる営業チームを作るポイント」について書いていきたいと思います。

今、売れずに苦しんでいる方、営業に向いていないのかなと悩んでいる方、そんなメンバーを抱えているマネージャーの方にぜひ読んでいただけると嬉しいです。


一番売れない営業から、全国1位へ

コミュニケーションが苦手だからこそ営業を志望

私の営業人生は、新卒で入社したキーエンスという会社から始まりました。そもそも、なぜ私が営業を志望したかというと、「コミュニケーションをうまくできるようになりたい」と思ったからです。田舎生まれ、大学でも勉強ばかりで、コミュニケーションは苦手だと思いながら生きてきました。だからこそ、そこに挑戦したいという気持ちがあったんです。
 
でも、いざ入社してみると、50人ほどいる同期のほとんどが“コミュニケーションおばけ”。初対面かつトークテーマや共通言語がないなかでも、皆しゃべる、しゃべる。しかも、オモロい。「これが営業の世界か…」と正直、面食らいました。
 
ただ、勉強だけは人並み以上にやってきた私です。6ヶ月の研修期間中、毎日のテストでは1位をキープ。研修中は商品知識のインプットやロープレにむしゃらに取り組みました。
 
ところが、
「研修で1位のヤツは、その後だいたい売れなくなる」
社内には、そんなジンクスがあったんです。
 
そして、私はその通りになりました。
 
というのも、実際に営業現場に出てみると、研修で学んだことはほとんど使えません。お客さんはそんなに合理的に動かないし、正論をぶつけても言い返されるだけ。そんな私を横目に、研修では成績が振るわなかった同期たちは得意の「コミュ力」でバンバン売っていきます。

配属後は、年次にかかわらず営業ランキングが1位から最下位まで出るのですが、私は毎月ほぼ下位20%には入っていたと思います。
 
決してサボっていたわけではありません。目標とされている1日の電話件数も月の商談数も必ず達成し、会社や上司に言われたことも忠実に守っていました。そのため、成績は悪くても、周りからの評価は悪くはありませんでした。でも、なぜか、どうしても売れない…。
 
「こんなにやっても売れないなら、きっと会社の戦略が悪いんだな」と思ってしまうほど、自分としては「やっている感」があったんです。今振り返ると、とても他責だなと思いますが、当時は言われたことをただただ真面目にこなす日々を送っていました。


転機は同期の成功。コミュ力以外で勝つには

そんななか、転機が訪れました。
 
ある日、仲のいい同期Aさんが全国1位を取ったんです。もちろん喜びの気持ちもありましたが、それよりも悔しさが勝りました。
 
研修中は自分が教えることも多かったAさん。私とは真逆で、会社に言われたことはきちんとやってなさそうです。なのに、なぜこんなに売れるのか。
 
「言われたことを必死にやっても下位の自分」と「言われたことをやっていないのに全国1位のAさん」。学生時代までの勉強法とは違う、「勝ち方のカルチャーギャップ」に襲われました。
 
「自分も、売りたい」
本気でそう思ったのは、これがきっかけだったと思います。ただ、私にはどう考えてもコミュ力が売れる秘訣には思えませんでした。というか、今から鍛えようにも、周りのコミュ力おばけには絶対に勝てない。でも、どうしたら売れるようになるのか全くわからない…。

そこで、私は会社から提示されていた数十個のKPIをとにかく1つずつ検証していくことにしました。

ある時は、「電話数」にフォーカスしてひたすら電話。30件/日→60件/日
ある時は、「商談数」にフォーカスしてひたすら商談。50件/月→80件/日
ある時は、「デモ件数」にフォーカスしてひたすらデモ。20件/月→40件/月

そんな感じで、1年ほどかけて数十個のKPIをそれぞれ試し、どれが売上に効いてくるのかを検証しました。その結果、
 
「製品デモを実施した打合せ件数」と「値引き率」
 
この2つが売上に一番跳ね返ってくるという結論に行きつきました。いわゆる、自分の(当時の担当エリアでの)勝ちパターンを見つけたんです。
 
そこからは、とにかくその2つにこだわりました。たとえ、「もっと電話件数を増やせ」と指摘をされても無視。いや、無視は言いすぎましたが、言われた最低限までをいかに効率よくやるかという思考に変えて取り組みました。
 
それまで言われたことに忠実にがむしゃらにやってきた自分としては、「やらないこと」「注力しないこと」を決めることは大きな変化でした。当時、先輩が「とにかく楽して達成しろ」「どうやったらサボれるかを考えろ」と言っていた意味がわかり始めたのもこの頃です。

言われた“から”やる
言われたこと“は”やる

この2つは似ているようで全く違います。
 
ダメ営業だったころの私は前者。言われたことをやりきることは悪いことではありませんが、ただこなすだけでは無思考なだけ。ある意味、私は受験的なマインドから抜けられてなかったのかもしれません。気づいてしまえばシンプルですが、「自分で考える」ということが自分に大きく欠けていたことに気づきました。
 
勝ちパターンに注力してからは売上はどんどん伸び、入社4年目にして、私は全国で営業の総合ランキング1位の成績を残すことができました。

営業の「勝ちパターン」の見つけ方

とにかく「真似」しよう。個性はプロセスに滲み出る

私は自分の勝ちパターンを見つけて営業成績を上げることができましたが、もちろん人によって勝ちパターンは違うでしょう。自分の特性や担当領域など、さまざまな変数の掛け合わせで勝ちパターンは決まります。ただ、見つけ方は同じ。
 
それは、とにかく「真似をすること」です。
 
売れている人の行動を分解して、徹底的に真似することが売れるようになるいちばんの秘訣だと私は思います。私の場合は会社から提示されていたKPIを1つずつ検証していきましたが、売れている人の行動を小さく分解するのとまさに同じことです。
 
ただ、真似することに抵抗のある方もいるかもしれません。
 
「自分らしい営業スタイルを見つけたいのに、なぜ真似?」
「真似したら、個性がなくなるのでは?」
 
そう考えてしまうのもわかりますが、これらは「自分らしさ」への誤解だと感じます。
 
その人“らしさ”というのは、人の真似をしたくらいでなくなるものではありません。あなたの個性はそんなに弱くないと強く言いたいです。
 
真似をするのは、あくまでその人の1つひとつの行動です。行動を真似したからと言って、そっくりそのままその人になってしまうわけではありません。心配しなくても、行動の中に自ずとあなたの個性は滲み出てきます。
 
例えば、真似したい行動の1つに「即レス」があったとします。ただ、一言で「即レス」と言っても、即レスの仕方はさまざま。そこに自分なりの表現ややり方など個性が出るものです。
 
行動のやる/やらないで個性を出そうとせずに、やり方で個性を出せばいいですし、心配しなくても勝手に出てくるものだと思います。
 
さて、具体的に何を真似するかですが、周りに売れている営業の先輩や同僚がいれば、その人の行動を書き出して1つずつ試してみてください。どんなに「この人はすごい」と思う人も、実は行動に落とし込んでみると、当たり前のことやシンプルなことを積み重ねているだけだったりします。
 
もし、身近に真似するべき人がいない場合、たとえば以下の行動から試してみてください。

私はこれを前から順番には試しました


次に、どうやって真似をするかです。私のおすすめは、その日に真似することを午前と午後に分けて決め、1日の終わりに○×で振り返ることです。

ある日の午前中に「電話を40件」、午後には「すべてのメールに10分以内の即レス」を目標においたとします。それらの目標に対して、1日の終わりに○×で評価をします。ここで重要なのは△はつけず、必ず○か×で評価すること。あとから見たときに、「だいたいできているな」「全然できないな」と大まかに把握できるようになっていればOKです。

定量・定性で、勝ちパターンを絞る

一通り真似ができたら、今度は自分の勝ちパターンを絞っていきます。絞るときに、私が意識していたのは2つです。
 
・定量:売上に反映されているか
・定性:自分にとってその行動が得意か、伸ばせそうか
 
まずは、真似したことが結果に表れているかどうか売上の変化を見ます。営業は良くも悪くも数字で結果が返ってくるので、これはシンプルでわかりやすいですよね。
 
もう1つは、自分にとってその行動は「得意か」「伸ばせそうか」という点も重要です。いくら結果に繋がることも、継続できなければ意味がありません。日々の○×の結果や自分の特性も考えて、勝ちパターンを絞ります。
 
たとえば、私の場合、値引きの交渉に耐えるのは全く苦でなく得意だったので、「いかに値引きをしないか」を勝ちパターンの1つに絞りました。関西人の両親のもとに生まれ、子供の頃から家電量販店で交渉させられていた経験がここで活きました(笑)
でも、逆に、「電話」はいくらやっても全く好きになれませんでした。これはやっているうちにわかったことですが、私は非言語の要素も使って会話をしたいタイプなので、表情が見えない電話ではうまく伝えられないことが多かったんです。そのため、一旦電話件数は自分の勝ちパターンからは外すことに決めました。でも、中には表情が見えない方がうまく話せるという人もいるでしょうし、どんなに電話で断られても傷つかないという性格の人もいるでしょう。
 
このように、自分が得意か、続けられるかという点は重要ですし、同時に自分の個性を理解することにもつながります。

数×質でトップセールスへ

自分の勝ちパターンを見つけるだけでも、誰でも確実に売れるようになります。
ところが、ここまでくるときっとさらに上を目指したいと思うのが人の性。私もそうでした。
 
物事の成功において「量×質」というのはよく言われますが、営業もまさに同じです。
 
勝ちパターンが見つかったら、ひたすらそこにフォーカスして「量」をこなしながら、「質」を高めることにも注力していきます。ただ、この時に量→質の順番で進めていくことを強くおすすめしたいです。
 
というのも、先に質にこだわることから始めてしまうと、量をやらない言い訳にしてしまうからです。トップセールスと呼ばれる方を見ていると、量×質の両方を満たしている人ばかりです。

 営業パフォーマンスを上記のように3つに分けるとすると、私の経験では「量× 質○」のミドルパフォーマーがいちばん伸びづらい傾向にあると感じています。高止まりしている間に、ローパフォーマーにどんどん追い抜かされていくケースも幾度となく見てきました。
 
「量をやらない言い訳をしない」ことが、いつになっても営業に必要な考え方かもしれません。
 
とはいえ、「質」ももちろん必要です。
 
たとえば、私の場合、商談数を増やしていくなかで「1時間の打ち合わせ中よりも、エレベーターまでの5分の方が本質的な話ができた」「喫煙所でたまたま一緒になったときに本音を聞けた」など、アンオフィシャルな場こそ価値のある話を引き出せるという感覚が明確になっていきました。
 
ただ、当時の会社ではお客さんへの接待が禁止されていたので、飲みに行くことはできません。そこで、「商談中にいかにアンオフィシャルな状態を作るか」を意識して商談をするようになりました。
 
会議室に入ってすぐに新商品の紹介をするのではなく、「最近、ニュースでこんなことを見たんですが、御社ではどうされてますか?」と別の話題から会話を始めたり、「〇〇さんはこの会社でどういうことをやりたいと思ってるんですか?」と個人の話を広げてみたり。「藤本と話したい」「藤本になら時間を作ろう」と思ってもらえる場づくりを心がけるようになっていきました。


ここまで読んでいただいて、「当たり前のことばかり」「よく言われてることばかり」と思った方もいるかもしれません。その通りです。だからこそ、私は「誰もが売れる営業になれる」と思っています。

ただ、大事なのは「これが正解なのだ」と自分自身が信じ切れるかどうか。

営業は不確実性が高い職業だからこそ、同じことをやっても失敗することもあれば成功することもあります。そんななかで、自分が「これだ」と思うものを見つけて本気で向き合い続けられたのは、自分で1つずつ検証し、自分で考えて選んだからです。

最後に

ここまで私の営業人生を振り返りながら営業パーソンが成果を出せるようになるまでの道のりをまとめてみました。
今苦労している人も、これからチャレンジしようとしている人も、メンバーを育てたいと思っている営業マネージャーもぜひ参考にしてみてください。

まだまだ私も修業中の身です。もし壁打ちやディスカッションの機会をいただけるのであれば各種SNSでご連絡ください。
一緒に最高の営業になる、営業組織を作るためにできることを考えていきましょう。

世の中、「なぜか上手くやれちゃう人」というのはたしかに存在します。そういう言語化できない“センス”は羨ましく感じることがあるかもしれませんが、そういうセンスがない・不器用な私のような人でも売れる営業にはなれます。楽しんでいきましょう。

ここまで読んでいただきありがとうございました!!


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