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野生の食虫植物、激写

ごきげんよう、藤川愚痴子よ。
 プロフィールにも書いてある通り、アテクシは食虫植物には目がないの。
 春から夏にかけて、津々浦々のホームセンターにて食虫植物の揃い踏みがお目にかかれるわけだけど、それらはおおかたコンプリートしたわ。
 この激情の始まりは、小学生の頃にまでさかのぼる。
インターネット黎明期の真っ只中にいた幼いアテクシは、あらゆる情報の中から衝撃的な出会いを果たすの。
 それからというもの、ホームセンターで買ってもらうだけでは飽き足らず、なんと近所に「野生の食虫植物」が見られる場所があると耳にして、さっそく自転車を走らせたの。

 見つかったの。
小さな赤い花火が、日陰の斜面に点々としていたの。

興奮さめやらぬアテクシは、あろうことかその植物をペットボトルのキャップで土ごとこそぎ取り、家に持ち帰ったの。
キャップに収まるほどの小さな植物。ガキんちょにえぐられたことで、おそらく根っこが切れたのね。
そいつは見事なまでに茶色くなって死んだわ。

 それからおよそ10年ほど。
今日の夕方、同じ場所に見に行ったのね。
そしたらね…あったのよ。

お花が咲きそうね

苔のむす岩肌に、モウセンゴケがちらほら見られたの。
 だけど、やっぱり数が少ないわね。
100メートルはある岩肌のうち、ほんの5〜10メートルの範囲に、10個はあるかないかくらい控えめに生えていたわ。

 親指ほどの小さなそれはいくつか蕾をつけていて、とても可愛らしかったわ。
おそらくだけど、これはコモウセンゴケだと思われるわ。
コモウセンゴケによく似た種としてトウカイコモウセンゴケがあるけれど、これはきっと前者よ。アテクシの直感がそう言っているの。

 こんなに小さくて、果たして虫が捕まえられるのかしら…
そしてこの子に限らず食虫植物は、「虫を食べる」というファンキーな性質とは裏腹に、他の植物との生存競争には弱いし、そもそも競争を避けようとしているの。
 豊かな土地から追いやられ、栄養の乏しい土地でもまた、苔やシダに囲まれて肩身の狭い思いをしている。

…少なくとも、アテクシの目にはそう映ったのよ。
 夕暮れどきの、ちょっとしたドラマを感じた藤川愚痴子でした😌

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