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飛騨高山に1週間住んでみた①ブランド牛と高山ラーメン

 飛騨高山は何度も通過していた。北陸から上高地や信州にむかうとき、この町のわきをとおって安房峠をぬけた。でも町をあるくのは今回がはじめてだ。
 大阪から車で4時間余り、市街地の駐車場はたかいから、駅裏の砂利の駐車場にとめた。(24時間600円、週末は800円)
 JR高山駅はきれいに改築され、商店街は店が多く、飲み屋街には人口規模ににあわぬ数のスナックや居酒屋が軒をつらねる。ただ、いつあるいてもシャッターが多いのが気になった。

飛騨牛串焼きは超ミニサイズ

 なによりめだつのが「飛騨牛」の看板やのぼりだ。メニューをみると「ステーキ7000円」「すき焼きセット5000円」……。そんな店があっちもこっちも。いったいだれがたべるんだ?
 居酒屋で飛騨牛串焼き(2本で800円)を注文してみた。
 串にささっているのは小指の先ほどの小さな肉が4粒だけ。なんだこの小ささは!
 でも、口にいれると甘い脂がとろりととろけ、極上の肉だとわかる。二度と注文することはないだろうけど。
 ブランド牛といえば松阪牛や神戸牛が有名だ。飛騨牛はこれらにつぐ2番手グループの銘柄牛であり、岐阜県の統一ブランドだから出荷頭数も多いらしい。
「飛騨牛の餃子」という看板がある餃子屋にはいってみた。豚肉の餃子の2倍の値段だけあってたしかにおいしい。
 この店はコロナ前までは飛騨牛専門店だった。
 1995年に白川郷・五箇山の合掌造り集落が世界文化遺産になり、「高山祭の屋台行事」をふくむ「山・鉾・屋台行事」が2016年にユネスコ無形文化遺産に登録された。金持ちの外国人旅行者が、物価がやすい日本を楽しむ人気スポットになり、飛騨牛と日本酒がとぶようにうれた。
 ところがコロナで外国人観光客がとだえると、店の売り上げは9割へった。地元の人にきてもらうため、餃子をはじめたという。
「コロナが収束したら、飛騨牛専門店にもどしますか?」
 そうたずねると、やとわれ店長は首をひねった。
「観光客だのみのリスクを知りましたから。地元の人にもきてもらえるようにしておかないといけないような気がします」

東京風の中華そば

 高山には「中華そば」の看板もめだつ。100軒ちかくあるらしい。ここ数年、「高山ラーメン」としてマスコミにとりあげられることがふえてきた。
 昭和13(1938)年ごろ、東京で「支那そば」のつくりかたをおぼえた坂口時宗さんという人がはじめた屋台が起源で、その屋台は「まさごそば」という店として今もつづいている。
 2軒ほど「中華そば」をたべてみた。しょうゆ味の和風スープは、鶏がらや煮干し、鰹節でとっている。細くてかためのちぢれ麺にあっさりした汁がからんで素朴な味だった。

持参した自炊用品

 1週間すごすには自炊設備が欠かせない。古民家を改装した宿「BEYOND HOTEL」には簡易キッチンと電子レンジしかないから、カセットコンロとフライパンと鍋、包丁を持参した。
 調味料は、醤油・塩・砂糖・みそ・ごま油・オリーブオイル・バターを100円ショップのプラスチック容器でもってきた。(つづく)

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