シェア
藤井満
2021年7月19日 10:00
依存心を生んだ国際援助 「社会開発投資基金(FISDL)」で生活改善の普及を担当するアルヘンティーナ・トレッホは、激戦地だったモラサン県出身で、政府軍の迫害を避けるため1981年に15歳で首都に出てきた。ホンジュラス人の父は幼いころに国家警備隊に殺されていた。 大学に入り、社会の不正とたたかうため学生運動に参加した。ファラブンド・マルチ民族解放戦線線(FMLN)に加わり、ピストルなどの武器を運
2021年7月17日 19:18
「会話を増やしたい」最初の一歩は? 日本の生活改善は、農業技術の指導と異なり、日々の生活をいかによくするかを農村女性たちが考え実践するサークル活動だった。その手法を国際協力機構(JICA)が中米諸国に紹介し、エルサルバドルではモラサン県などの貧しい農村を中心に21自治体約300家族が参加している(2017年現在)。 2017年5月、モラサン県の中心都市サンフランシスコ・ゴテラで開かれた普及員
2021年7月13日 00:19
戦争による傷と「孤立」を克服 30歳代の生活改善普及員アンニバルのバイクに乗って、チランガ市の郊外にある集落を訪ねた。遠くまで山並みを見渡せる山上にある。 集会所には14,5人の女性と20人近い子どもが集まり、チーズや肉をトルティーヤの生地で挟んだエルサルバドル名物「ププサ」を庭で焼いている。材料のトウモロコシやチーズ、キャベツ、ニンジンはみんなで持ち寄った。 2016年1月にサークル活動をは
2021年7月11日 23:20
野菜自給で貯金、家を改善 モラサン県では「生活改善」の現場をいくつか訪問した。 ホンジュラスとの国境に近いトロラの山の集落に住む女性グレンダ(26歳)は2年ほど前、外国から援助があると期待して「生活改善」の説明会に参加した。「能力開発だけで、金銭の援助はありません」と聞いて最初はがっかりしたが、15人のサークルの例会には欠かさず通った。 例会では、生活の現状を把握して、どんな暮らしをめざし
2021年7月4日 09:31
かつて「ゲリラの首都」と呼ばれたモラサン県ペルキン市には今、ファラブンド・マルチ民族解放戦線(FMLN)の元ゲリラがつくった「革命博物館」や、難民を支援してきた米国人が経営するペルキン・レンカという快適なホテルがある。内戦の歴史に興味をもつ外国人観光客が訪れ、独特の体験旅行の拠点になっている。虐殺と破壊の跡 10分も歩けば反対側に抜けてしまう標高1200メートルの小さな町は、農民の生活を
2021年6月17日 10:42
戦後直後、日本の農村に導入された生活改善運動は、外からの援助に頼るのではなく、女性たちが小集団をつくって身近な課題を掘り起こし、かまど改良や保存食づくり、栄養改善といった実践を積みかさねた。一人ひとりが「考える農民」になることで、農村女性の地位向上をもたらした。そんな手法が21世紀の中南米諸国に紹介され、つぶれかけた共同体が再生する例も生まれている。「軍隊のない国」の山のムラ 中米コスタリ