地球温暖化防止のための人類共通の目標とは? ~パリ協定から探る世界が目指しているSTOP地球温暖化の方向~


エコ、STOP地球温暖化などというフレーズは世の中に当たり前のように聞く。とても良いことのように思えるし、私もその方向性には賛同したい。

ただ、「エコって何?」「STOP地球温暖化というが、何をどれだけすれば止まるの?」と聞かれると、答えに詰まる。キャッチーなフレーズ先行で、中身の理解がいまいち。

自分なりに地球温暖化を理解するために、世界で認識されている地球温暖化についてパリ協定で採択されたことから探っていく。

まず、パリ協定についての備忘録的リンクは以下。

Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%83%AA%E5%8D%94%E5%AE%9A_(%E6%B0%97%E5%80%99%E5%A4%89%E5%8B%95)
パリ協定(和文)環境省HPより
http://www.env.go.jp/earth/ondanka/cop/shiryo/10a01tr_jp.pdf
パリ協定(原文)UNFCCCより
http://unfccc.int/resource/docs/2015/cop21/eng/10a01.pdf
環境省の解説
http://www.env.go.jp/earth/ondanka/cop21_paris/paris_conv-c.pdf


上記リンクを私の理解の限りでまとめる。
・気候変動に関する国際的枠組み。2015年COP21(第21回気候変動枠組条約締約国会議)で採択。
・史上初めて気候変動枠組条約に加盟する全196カ国全てが参加する枠組み
・排出量削減目標の策定義務化や進捗の調査などは法的拘束力があるが罰則規定なし
・内容は2020年以降の地球温暖化対策を定めており、全29条。
・目的は、気候変動を起こさないために、世界中でゴールを共有し行動につなげること


このパリ協定では、かつては1997年の京都議定書のように先進国だけの協定だったところから途上国も合わさった全世界の枠組みが素晴らしいものであることもさながら、世界で目標を共有していることがさらに素晴らしい。ただ、難点というか、条文が作られた過程で国々の思惑により、明瞭性が少し足りない部分がある。全29条の中で特に重要な部分は第2条と第4条であるが、ここに2つの世界共通目標が少し不明瞭に掲げられている。


1.世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をすること

2.できるかぎり早く世界の温室効果ガス排出量をピークアウトし、21世紀後半には、温室効果ガス排出量と(森林などによる)吸収量のバランスをとること


1つ目の目標は、気温上昇の上限目標であり、気候変動をなるべく抑えるために何とかして達成しようというもの。日本では「2℃目標」ともよく聞くが、世界は「2℃じゃ不十分だ、1.5℃を目指そうよ」という声が大きいらしい。条文に2℃と1.5℃の2種類の数値目標があるのは若干明確さに欠けるが、私は1.5℃が必要だと主張する野心的な科学者と、せめて2℃にしないと目標が高すぎると保守する方々との攻防が垣間見える。たかが0.5℃でも平均気温の観点では雲泥の差なのだろう。

ただし、気温上昇を含む気候自体は、人間の力が及ばない部分が多く、宇宙や地球活動の影響もある。ただし、宇宙や地球活動は非常に長い期間(例えば氷河期は数百万~数億年の時間軸のものであり、数百~数千年の近代文明の時間軸に対して非常に長い期間)であり、万が一、宇宙や地球活動の影響があるかもしれない、という程度としておきたい。昨今、地球温暖化の議論が対象としているのは、数十年規模の話である(すでに1990年前後の地球温暖化に関する議論開始から既に30年が経過していることも付け加える)。地球科学の見地で異論があるかもしれないが、ここでは人間活動の方に視点を絞りたい。

1つ目の目標は人間の力が及ばない部分もあるとするならば、人間の影響の範囲である目標は何か。それは2つの目標である。人為的に排出される温室効果ガス、例えば発電、運輸、製造などで発生される二酸化炭素を21世紀後半には森林などの自然による吸収量と釣り合うまで減らそう、ということである。この2つ目の目標を達成すると、地球活動の影響が阻害しなければ、1つ目の目標も達成につながるというのが趣旨。ただ、21世紀後半という部分が2050年なのか、2100年なのか、解釈の幅が出てくる(ここにも野心と保守の攻防の跡がみえる)。


まとめます。

地球温暖化防止のための世界共通の目標とは、
「"温室効果ガス排出量"を"森林などの吸収量のバランスが取れるレベルまで"の削減すること」である。

削減の達成時期は少し明瞭性には欠けるが、「遅くとも21世紀後半」、つまり2050年~2100年までである。様々な国や企業、組織が「遅くとも21世紀後半」をどのように捉えているかは別途記載予定。
「現在の温室効果ガス排出量がどれくらい?」、「森林などの吸収量のバランスがとれるレベルとは?」についても今後記載する。

本文執筆時点で既に2020年。
地球温暖化について議論され始めた1990年前後から30年が経過した。
もし2050年を達成すべき期限であれば、今はちょうど折り返し地点に我々は立っていることになる。


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