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個人的にやってよかった、イラスト練習の進め方

今回は、FANBOXのほうで公開しましたこちらの記事、練習の進め方について(前後編)を一つのnote記事としてまとめました。

https://fujii-shino.fanbox.cc/posts/3601872
https://fujii-shino.fanbox.cc/posts/3632646

元の記事は内容にボリュームがありすぎるので、初心者が抑えるべき最低限の練習マインドとして4つの項目に絞ってお話します…!すべて見たい方は元記事のほうを参照してください。
5つめの項目はオマケなので、余裕のある方だけ見ていただけると嬉しいです。

それではどうぞ…!


■イラスト本もメイキングもいらない、まずは描く癖をつける

まず、これから練習をするにあたって一番最初にやらなきゃいけないのは「描く癖」をつけることです。


すぐに効果は出ない

基本的に絵は練習してもすぐに上手くなりません。効果が出るのは早くても一週間後、最悪1ヶ月とか半年後です。

最初のうちは成果が出なくても続けなければいけません。しかし、多くの人は成果が出なければ続きません。単純に面白くないからです。

なので、初心者はまず「練習はつまらないもの」という理解をしておくべきです。


やる気に頼らないほうが良い

自分も何年も練習を続けてますが、楽しいと思うことはほとんどなく、惰性で続けています。

しかし、やる気があろうがなかろうが、結局のところたくさん描いたもの勝ちなのが絵の世界です。描き始めれば何だかんだ考えますし、気づけば30分以上悩んでいることもよくあります。やる気がなくても上達するのです。

むしろやる気に頼るとろくなことがありません。明日も仕事で大変だから、今日は疲れているから、ゲームしたいから、動画みたいから。そうやってやる気のない時は練習をしなくなり、いつの間にか練習のことなんて忘れてるでしょう。

描く癖をつけるということは、やる気に頼らないということです。


具体的な癖を付ける方法

では具体的にどうするかというと、

毎日5分だけやる
決まったタイミングにやる
やることを決めておく

以上3つだけ意識しましょう。とても簡単ですね。


まずは一日5分でいいから毎日描きましょう。何描いてもいいです。模写でも落書きでも。

そして必ず同じタイミングでやります。朝起きてでもいいし、寝る前でもいいです。

やることは予め決めましょう。最近はクロッキー用のサイトもあります。自分はこちらをよく使いますね。


以上3つを心がけることで、「無意識にやるべきもの」として頭に刷り込まれます。いわゆるルーティンワークですね。

最初は上手くなろうとは思わず、まずは無心で同じことを毎日繰り返しましょう。もはや精神修行ですが、耐えてください。

これを続ければ、どれだけやる気がなくても自然とやるようになります。歯磨きのようにやらないとなんか気持ち悪い状態になり、やがてやらないと損したような気分になります。

この感覚が、絵を上達させるために最低限必要なものだと僕は思ってます。少なくとも、才能がないなら必須でしょう。


■練習は真似がすべて、練習方法すら真似する

絵を描く癖がついても、ただ描き続ければ上達できるほど絵は簡単じゃありません。我流で上手くいく人もいますが、何年後になるんだって話です。

少しでも上達効率を上げるための良い方法があるので紹介します。


アニメーターやアーティストのクロッキー動画を見る

イラストの練習法として一番よく聞くのが「クロッキー」だと思います。癖を付ける段階では「とにかく描けばいい」という話でしたが、ここからは「どうすれば上手くなるか」を考えなければいけません。

実はクロッキーというのは、ただ短い時間でモチーフを写せば上達するものではなく、クロッキーにはクロッキーのコツがあります。何となくで手を動かすより、自分が良いと思った他人のクロッキーを参考にしたほうが、モチーフを素早く描写するテクニックは身につきやすいです。


なので、皆さん動画を見ましょう。描き順やポーズの組み立て方がわかりやすいので、とても参考になると思います。

どこに力を入れるかは人によって違いますが、イラストを描くためのアタリとしてクロッキーをするなら「アニメーター」さんの動画を参考に、クロッキーそのものを作品として人に見せたいなら「画家」さんの動画を参考にするといいと思います。


個人的にオススメなのはこの方です。解説がわかりやすく、参考になります。


ちなみに後述しますが、クロッキーはあまり「覚えよう」と思ってやらないほうがいいです。どっちかというと、目の前にあるものの構造を分析するための練習にしましょう。


イラスト練習は好きな絵を真似する

また、描く癖が付いた段階で、イラストに挑戦するのも良いでしょう。やはり基礎練習よりもイラストを描いたほうが楽しいですよね。練習と違ってSNSに上げればいいねももらいやすいですし。

ただ、ここでも上達したいのであれば「ただ描く」のはオススメしません。上手くなりたいなら真似しましょう。


個人的にはパクリと言われるレベルまで真似することをオススメします。

なぜそこまで徹底的に真似するのかというと、そもそも上手い絵を描くということは「人が良いと感じる要素」を解き明かすという、大変骨の折れる作業であり、研究者でもないあなた一人でそれをやるのは無謀だからです。

心理学者や脳科学でも未だ解き明かせていません。


芸術というのは文化や性格の違いで、何を良いと感じるか人によって異なるので、0から他人に評価される絵を作り上げるよりも、すでに評価されている絵を真似したほうがあなたが求める絵にたどり着ける可能性は遥かに高いわけです。

ものづくりの分野では、こういう「すでにあるものを使わず1から全部自分で作ろうとすること」を「車輪の再発明」なんて言いますが、それと似たような話です。


模写やトレースではなく、似たようなイラストを描く

イラストを真似しろという話になると「じゃあまずはトレースから、模写から…」という人が出てくるのですが、個人的にはそんなにオススメしません。

というのも、時間がかかるわりに学べることが少なく、そもそもつまらないからです。


模写やトレースをやるなら、「顔のパーツ配置を学ぶ」「髪の毛の描き方を学ぶ」「構図を分析する」「配色を調べる」など目的に絞ったほうが良いです。


オススメはやはり絵柄を真似して絵を描くことで、特に「似たような絵を描くこと」を推奨します。

「似たような」というのは絵柄だけの話ではなく、服装やデザイン、モチーフの選択なども含めての話です。たとえば、女性キャラしか描かない絵師さんの絵柄を真似して、男性キャラを描くみたいなのは、かなり難易度が高いのでオススメできません。SFを多く描く方の絵柄でファンタジーキャラを描くみたいなのも同様です。

ぶっちゃけこちらのさいとうなおき先生の動画で述べられている方法と同じことを言っているだけなので、よくわからなければ参照してください。


■筋肉や骨を暗記しない、基礎知識は覚えずに使う

真似して練習とは言うものの、やはり骨や筋肉などの基礎知識がないと不安でしょう。真似している間にどうしてもわからないことも出てくると思います。

が、僕は「筋肉の描き方」的な本を買って、熟読することはあまりオススメしません。


暗記は忘れる

筋肉に限らず、身体の構造や、パース・遠近表現、光や影、色に関する知識は、何となく絵を描くのに必須というイメージがあると思いますが、必ずしも重点的に学ぶ必要はありません。

理由は、基礎知識はそれ単体で学んでも、すぐ忘れるからです。基本的に使わない知識は忘れます。受験であれほど覚えた英単語も、ほとんど忘れてたりしませんか?


絵の基礎知識も同じで、何となく同じ「絵」というカテゴリなので「どんな知識であれ絵を描く上では役に立つ」というイメージがあるかもしれませんが、リアル系の絵とデフォルメの強いアニメ絵では、使う技法が全然違いますし、描くキャラのデザインや配色、背景やシチュエーションによっても表現法は様々です。

筋肉という一点に絞っても、正面のポーズばかり描いていれば「横から見た筋肉」の知識は活かされずやがて忘れていきます。目的もなしに広く浅く基礎知識を学ぶのは効率が悪いのでやめたほうがいいです。


知識は描いた後に調べる

ではどうすればいいのかというと、とりあえず絵を描いてから、わからなかった部分を調べましょう。

髪の毛の描き方がわからなければメイキングを調べ、手の動きがわからなければ自分で写真撮って写しましょう。

そうして学んだことを次に活かせば、効率的に上達できます。一々調べるのは時間はかかりますが、よく使うポーズなんかは何度も調べてれば勝手に記憶に定着するので、そのうち見なくてもそれなりに描けるようになります。

これはポーズや手の描き方だけの話ではなく、配色や構図、ハイライトの入れ方やエフェクトの描き方みたいなテクニックについても同様です。


ちなみになぜ「描いた後」なのかというと、調べながら描いていると、自分の下手な絵に嫌気が指して前に進めなくなるからです。ある程度慣れてくれば耐えられますが、初心者のうちはこれが精神的にかなりキツいです。

初心者にありがちな上達しないパターンが「イラストを描かず練習ばかりに時間を使う」なので、それを避けるためにまず一枚描ききることをオススメします。


■まとめ

というわけで以上、初心者に覚えておいて欲しい「練習の進め方」でした。

まとめると
・癖を付けることを最優先に
・とにかく真似する
・基礎知識は覚えず使う

ということだけ忘れないでおけば、変な方向にいくことはないかなと思います。

まぁこんなこと改めて僕が言うような話でもなく、多くのイラストレーターさんがみんな言ってることなんですけどね。


ただ、上のやり方は自分の経験からもオススメできるので、どう練習していいか不安な人にはぜひ実行してもらいたいです。

というわけで、ここまで読んでいただきありがとうございました。
以降はオマケです。


■やるべき具体的な練習

色々聞いても、結局何をすればいいのかわからない人が多いと思います。ぶっちゃけその人のレベルや描きたいものによって変わりますが、個人的にオススメできる方法がいくつかあります。

一般的な「クロッキーやろう」とか、「イラストを真似しろ」みたいな話を、もう少し具体的に突っ込んだものになりますが、中にはちょっとグレーゾーンな練習もあります。

なので有料にしていますが、目次を見て価値があると感じたなら読んでいただけると嬉しいです。

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