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ウクライナ戦争

2022年2月24日、私の70歳誕生日の2日前にプーチン・ロシア軍がウクライナ侵略を始めた。誕生日の2日前と言うのが許せない。なぜ私の70歳誕生日を祝ってくれないのか、という冗談はさておき、70歳にしてまたも経験したことのない事態を目撃している。

日本の戦争が終わったのは77年前だから、私は戦争を知らない世代である。親たちから話としては聞いていたが直に体験したことはない。朝鮮戦争やベトナム戦争、近年ではイラク戦争やアフガン戦争など世界から戦火が消えたことはないのだが、幸いに身近なところで戦争は起こらなかった。

ウクライナ戦争も距離的には遠い。ただ、私も含めて多くの人が戦争は起こらないだろう、どこかで回避されるだろうと思っていたのに、いきなりロシア軍が攻撃し、破壊される街の様子が連日伝えられる。それもSNSによって市民がリアルタイムで発信する。その映像を見て世界中がプーチンは気が狂ったのか、ウクライナの子を救えと声を上げる。こういう現象を私は見たことがない。

ウクライナのゼレンスキー大統領が日本の国会でオンライン演説をした。世界の主要国向けにオンライン演説を繰り返して、支持を求めている。これも初めて見ることだ。いったいゼレンスキー大統領はどこに隠れて演説しているのか。キエフにはロシア軍が激しい攻撃をしているのに、よくぞ演説映像を世界中に送れるものだと、感心する。

ウクライナは情報戦ではロシアを圧倒している。いわゆる西側ジャーナリストもどんどん受け入れ、ロシア軍が市民を無差別攻撃していることを世界に伝えさせている。市民はSNSでどんどん映像を流す。血まみれの子ども、子どもを抱えて泣き崩れる母親、破壊されたビルから助け出される老女。ロシアは捏造映像だと必死で打ち消すが、ロシア国民以外はだれも信じないだろう。ロシア国内では、まったく違うニュースが国営メディアによって流され、ロシア軍は迫害を受ける市民の要望によって進軍しているというプロパガンダが行きわたっているようだ。でも「誤ったニュースを伝えたものは処刑する」という法律を急遽つくって報道統制を強めた国だから、ロシア発のニュースは誰も信じなくなっている。

しかしである。ウクライナ発のニュースが正確かどうかは分からない。市民がたくさん死んでいることは事実なのだろう。一刻も早く戦争を終わらせ多くの子どもたちを救ってあげたい。そのためには、本当に何が起きてるのか、情報を集めて分析し事実により近づく作業が欠かせない。SNSという市民総発信時代におけるジャーナリストの役割はそういうことだろう。ウクライナ陥落の危機とかマリウポリ封鎖作戦など戦況報道に明け暮れている場合ではない。というようなことを知人たちと話していたら、昔からマスメディアは戦況報道に熱を入れ、市民をあおってきた。今に始まったことではないという冷めた意見が返ってきた。でも、そういう習性も乗り越えるときが今だろう。

結局この戦争で得をする人は誰なのか、なぜプーチン・ロシア軍は非常識と思える軍事作戦に踏み切ったのか、なぜアメリカはロシア軍の行動を正確に予測できたのか、なぜウクライナは多くの市民の犠牲者を出してまで抵抗を続けるのか。私の勉強不足なのだろうが、疑問にこたえる報道はまだない。そこが分からないと、ウクライナ戦争は終結の道が見えてこないような気がする。

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