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あなたが必要なのです!/「三方良し」の誤解

みなさん、おはようございます。フジガッキーです。

きょうも昨日に引き続き、

「書棚の本、パッと開いた印象的な言葉から」シリーズです!

きょう書棚から手に取ったのは、

『捨てられる銀行4 消えた銀行員 地域金融変革運動体』(橋本卓典著)です。


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◆「あなたが必要なのです」

とても印象的な見出し!えっ、なんだろうと引き込まれます。

地域金融機関で多くの若手が辞めていくのは「地域のために貢献したい」という自己実現において「この組織で必要とされている」という思いが満たされないためだ。
ネットワーク思考で捉えれば、リーダーの役割は明白だ。
「あなたが必要なのです」とのメッセージをネットワークの接続者たちに届けることに尽きる。接続者たちが「この人のために自分が人肌脱いで支えなくては」という「つながり具合」を切り替えるからこそ、変化が生じる。

そして、

目指すべき理念や目標を共有した上で、リーダーが弱さを見せ、服従ではなく、助力を仰ぐことが有効となる。
たとえネットワークに接続していても、そのメンバーのつながり具合が「指示待ち」「いいなり」であれば、目指すような成果は望めない。無気力や諦めもネットワークを介して感染するからだ。そうしたメンバーの欠乏を取り除くことがリーダーの最も重要な仕事だといえる。

◆「三方良し」の誤解

「うちの経営は三方良しですから」
「売り手良し、買い手良し、世間良し」この調和こそ近江商人を象徴するものと広く知られるが、どうも誤解されている。三方良し、と一口に言っても、問題はその優先順位だ。
「売り手良し」が「買い手良し」よりも優先するのであれば、それは強欲なテイカーだ。イカサマである。「両立」というのは本質を曖昧にしてしまう危うい言葉だ。実際には、「押すボタン」の順序、優先順位が必ずある。どこから議論を始め、手を付けるのかによって、結果が大きく変わってしまう。客商売であればなおさらだ。客は常にこちらの所作を見ている。そこに欺瞞やあざとさを感じ取った瞬間、心が離れてしまう。

◆「当行のメリット」

銀行員なので、ついこうした見出しが気になります!

「それは当行にどういうメリットがあるのですか」
これは地銀の人間と会話をしていてよく出てくる言葉だ。
地域金融機関は地域の事業者と取引をして利益を稼ぎ、いざという時のために資本を蓄えているのだから、今回のコロナ禍のような時こそ、資本を切り崩して地元に還元するのは当然の姿勢だ。
にもかかわらず「地域のメリット」ではなく「当行のメリット」という言葉が、まず口から漏れてくるのは「売り手良し」が最優先されているからだ。「買い手良し」など、差し詰め「顧客満足アンケート」程度でお茶を濁しておけば良いと考えられている。
本来の「三方良し」とは、まず相手や顧客の「買い手良し」を達成し、その上で「売り手良し」が成り立ち、そして「世間良し」を満たして初めて実現される「状態」を指している。


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いかがだったでしょうか。

私は「三方良し」には順序がある、がとても腑に落ちました。

「近江商人は丁稚奉公から始まります。まず掃除です。掃いてはいけません。ゴミや埃を近隣にまき散らしてご迷惑を掛けるからです。円を描くように箒を動かしてゴミを集めます。自分の店の前を掃除していると、店の番頭さんから『お隣さんから掃除しなさい』と叱られます。お隣さんの掃除が終わったら、お客様が通って来られる道路も掃除します。そして最後に自分の店の前を掃除するのです
「冨山の薬売り」も「先用後利」の精神を継承してきた。相手の役に立つことが先、利益は後だ。

お読みくださりありがとうございました。

みなさまのお役に立てば嬉しいです。

どうぞ良い週末を!



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