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「甲子園の代替案」 3年生全員ベンチ、全員出場! 筒香選手の提言を思い出す

大人も子供も頑張りすぎない環境を作る。野球がスポーツとして、楽しく、そして子供たちの心身の成長につながるものになること。「勝利至上主義」を捨てて、野球をやる子供たちの笑顔を取り戻したい。

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2020年5月22日、筒香嘉智選手が新型コロナウイルス感染拡大に伴い、地元の和歌山県橋本市と高校時代からDeNA時代を過ごした神奈川県横浜市を通じて寄付を発表しました。筒香選手は、2019年オフにメジャーリーへの移籍を決断し、タンパベイレイズの選手として海の向こうで2020年シーズンを迎えようとしています。

そんな筒香選手は、2019年シーズンの前に東京都内の日本外国人特派員協会で記者会見を行い、子供たちを取り巻く野球環境の改善へ、提言をしていました。

筒香選手の経歴を振り返ってみると、中学は、堺ビッグボーイズで全国ベスト8を経験、高校は、横浜高校で1年春から4番を任され、卒業後、横浜ベイスターズからドラフト1位指名を受けています。

強豪チーム、強豪校で野球漬けの毎日を過ごし、実力をつけ、多くの苦しみを経験しながらも、プロに入ってから活躍を続けています。

「プロ野球選手になるには、小さいうちから体を鍛え、厳しい監督、コーチの指導を受ける。また、やりすぎるくらい練習をやらないといけない。野球界の発展のためには、大人も子どももより頑張らないといけない。」経歴だけで判断すると厳しい内容が伝えられると思っていました。

しかし、筒香選手はいい意味で期待を裏切ってくれたのです。

「大人も子供も頑張りすぎない環境を作る。野球がスポーツとして、楽しく、そして子供たちの心身の成長につながるものになること。「勝利至上主義」を捨てて、野球をやる子供たちの笑顔を取り戻したい。」

会見の冒頭では、「少子化よりも速いスピードで野球人口が減っていること」や「無理をしすぎてケガや手術をする子どもが多数いること」にも触れ、野球界をもっとよくしたいと提言の趣旨を説明していました。

「勝利至上主義で野球を極めてきた選手が、野球界に向けて勝利至上主義を捨て楽しめる環境を作ってあげたい」と語りました。

小さいころから野球と向き合い、苦しみも痛みも知っている、プロ野球選手の発言であるからこそ、特別に感じ、心を揺さぶられたのだと思います。楽しめる環境を作ること、簡単そうで一番難しいのかもしれません。

勝利至上主義と言われて頭に思い浮かぶのは、高校野球の甲子園大会です。甲子園に行くには、トーナメントで何連勝もする必要があります。猛暑の中、必死に野球に取り組む姿は、毎年、野球ファンの心に刺激を与えてくれます。ただ、伝えられていること以上に過酷を極めている現実からも目をそらすことができません。

今夏は甲子園大会の中止が発表され、各地区では代替大会の案が検討される段階に入っています。甲子園がないとなれば連勝への固執はなくなると考えられます。

高校球児や監督(先生)、チームマネージャーや家族、大会の運営の役員や審判員、常駐医の先生などそれぞれの立場でやりきれない思いがあると思います。そんな苦しみを感じながらも今回が試合を楽しめる環境づくりのきっかけになるのではないでしょうか。

・ベンチ入りメンバー増枠・イニング数を減らし、試合数を確保・各チーム2試合以上の保証・球数制限・3年生の全員出場 など各地区ごとに検討されていることでしょう。

まずは、なんとかして大会の開催にこぎつけられる環境になることを願っています。そして、今までできなかった新たな取り組みが導入され、筒香選手が望む「野球をやる子供たちの笑顔が取り戻せること」を野球ファンとしても期待しています。

改めて甲子園大会の中止は残念です。しかし、それ以上に今は、各地区ごとに開催される2020年高校野球オリジナル大会がどのような形で実現されるのかワクワクしています。

「変わるぞ高校野球!広がるぞスポーツ観!」