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明け方5時の小さな魔神

若草色と琥珀を散らした瞳、
桃色と褐色が混在する肉球、
口元は紳士のお髭のようで、
フワフワの毛並みは最上級の撫で心地。
——そう、猫。

この愛らしい天使は、たまに恐ろしい魔神と化す。
主に朝の3時〜5時あたりに、薄明かりの下ガサゴソと何かを物色し、毛を逆立て疾風の如く駆け回る。
その時の獣にぶつかったら命の保証はない。

「ナーーーー」と良く響く奇声を上げ、腹を見せて油断させる。もしこのとき、まんまと腹を撫でてみろ、その丸い目をもっと丸くして牙を向くだろう。
手足を絡めて逃げ場を奪い、その手に噛み付いたが最後、爪を食い込まされ、蹴られ、齧られ、その魔神のおもちゃにされるのだ。

そして夢魔に襲われたが如く憔悴した人間から指導権を奪い、小さな天使は小さな主人に成っているというわけだ。

魔神に変わってもらってはたまらないと、ネズミのおもちゃで運動してもらい、カルマを放出させる。
それでもダメな時は先手を打って封印の儀(先手なでなで)を行えば、少しはマシになる。少なくとも、奇声を上げてこちらを呼ばれることは回避できる算段だ。
かまいたちの如き疾風は止められないが。

これが我が家に巣食う魔神だ。

なんて恐ろしい。
しかし追い出すことは絶対にできないのだ。

その瞳を見つめた時から、私の魂はこの小さな魔神に囚われてしまったも同然なのだから……。

何か企んでいるようだ……。

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