何処までもやせたくて(3)栄光の記録


新生活も少しずつ落ち着いてきて、今日の午後はまったりと過ごした。
自分の古い日記を読み始めたら、ついつい惹きこまれたりして。

日記をつける習慣は小4のときからだけど、その頃から「やせたい」とか、
「ダイエットしなきゃ」っていう言葉が出てきて、我ながら、
根の深さに感心してしまう。
子供なのだから、体重が増えていくのは当たり前のことなのに、
身体測定で、数字が大きくなっていくのが、いやでいやで仕方なかった。

だから、本格的にダイエットを始めて、どんどんやせていった時期の日記を見ると、
それだけで、ウキウキしてしまう。
体重の変化を記録した折れ線グラフなんて、見事なまでの右肩下がりで。
特に、夏休みの落ち方がすごい。
約四十日間で、6キロ近く減らすことができた。

なんの取柄もない私にとっては、ちょっとした栄光の記録だ。

なぜ、夏休みにやせられたのか、といえば、話はカンタン。
親にも先生にも友達にも、誰にも邪魔されることなく、食事を抜いたり、減らしたりできたから。
学校のある時期はそれができず、ストレスがたまった。
朝と夜は親が一緒だし、昼は友達の目が気になって。

でも、夏休みは違う。
うちは共働きだから、平日の昼は何も食べずに済んだし、
夕方からバイトを入れたので、夜は外で食べてきたふりもできた。
日記のページをめくると、
「今日は朝、サラダを食べた。あとは、水を飲んだだけ。この調子で頑張ろう」
「今日は寝坊したおかげで、朝も抜けた。野菜ジュース1本で、一日乗り切ったぞー」
なんて文章が残っていて、あの頃は頑張ってたんだな、と懐かしくなる。

ただ、懐かしがってばかりもいられない。
もう一度、ダイエットを成功させなくては。

家にいた頃と違って、一人暮らしの今は、なんでも自由にできるのだから、
失敗は許されないし、できれば、もっと成果を上げたい。

前回の最低記録は、35.2キロ。
今回は、30キロ台前半が目標だ。
(さすがに、20キロ台まで行くと病気だと思うから・・・)

前回同様、いや、それ以上に頑張らなくちゃいけない。

そういう意味では、前回のやり方には反省すべきこともある。
夏休み中、一気にやせたせいか、周囲には病気っぽく映ったようで、
それが、病院に連れていかれるきっかけとなり、
強制的にリバウンドさせられてしまった。

そこで、今回は「サラダのみ」とか「野菜ジュースだけ」といった、
極端なことはなるべくしないで、体力を維持しながらやせるつもり。
それができれば、前回、私を病人扱いした人たちを見返せるし、
自分にももっと自信が持てる。

誰よりもやせた体で、普通に生活すること。

ダイエットに興味のない人にはどうでもいいことかもしれないけど・・・。
私には、それが至上の夢なのだ。


#小説 #痩せ姫 #拒食 #ダイエット



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